養豚経営情報
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子豚のような好奇心と行動力、そして成長力を目指しています。こぶたの学校長・纐纈雄三
第三者農場査定での米国流福祉度ベンチマーキング
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福祉・動物ベンチマーキング
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福祉・飼育スタッフ
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福祉・施設
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福祉・記録
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福祉・豚の輸送と移乗
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ポークの安全度ベンチマーキング
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農場査定の事前準備
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代表サンプルの頭数の決め方と抽出法
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農場査定の実際
米国ポーク生産者協議会(NPB)は、38ページからなる第三者農場査定標準(Common Industry Audit Standards)を発刊しました。それは、専門動物査定人認定協会(Professional Animal Auditor Certification Organization, Inc.)が作成したものです。養豚の福祉とポークの安全性の向上と農場の群健康を守るためのガイドラインです。第三者による農場査定は米国ポーク品質保証プログラム(PQAプラス®)とのセットです。
この農場査定は、絶対の5条件(5設問で1問でも満たさないと即に失格)以外は、各設問に点数がつきますので、福祉度のベンチマーキングができるようになっています。構成と設問数と配点数は、福祉・動物ベンチマーキング(30問で245点: 51%)・飼育スタッフ(8問で40点: 8%)・施設(10問で50点: 10%)・記録(17問で34点: 7%)・輸送と移乗(9問で75点: 15%)そしてポークの安全度(14問で46点: 9%)です。可能最高得点は490点で100%です。これを可能目標値としてベンチマーキングが実施されています。米国の各項目の平均はどれぐらいなのか興味のあるところです。今回は日本の生産者にも有用と思われる部分、福祉・動物ベンチマーキングの設問を以下に紹介します。
なおウエブサイトは以下です。https://porkcheckoff.org/certification-tools/producer-tools/common-swine-industry-audit/
なお本ガイドでは、科学的代表性を確保するためのサンプル抽出頭数と系統抽出法について詳述しています。農場査察ですべての豚を観察・評価することは難しいということで、統計的サンプリング法で、代表サンプルを抽出し、豚を観察評価することが大切ということです。最後の方に掲載しています。
5つの最重要動物福祉指標
最初に5つの最重要な設問1-5があり、それらには点数はありません(下の表)。もしこれらの設問で、1つでも容認できないものがあれば、その農場は、自動的に失格となります。失格となった場合は、生産者は是正措置の行動計画報告書をまとめ、そのなかで是正済か、将来是正する計画が実施中であることをはっきりさせます。
1)意図的虐待とネグレクトがない(最重要設問1)
ねらい:意図的虐待またはネグレクト(悪意ある無視)が農場査定中に、農場のすべての豚で観察されないこと。意図的虐待またはネグレクトの定義は、正常と容認されている生産の実践の外にあるような、意図的に痛みと苦しみの原因となる以下のような行為です。
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動物の弱い部分、目や耳や生殖器や直腸に意図的に電気棒をあてる
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過剰な電気棒の使用
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動物への容赦ない殴打、拳で動物を殴ること、足で蹴ること、動物を扱う道具(ソート板、ガラガラ棒など)で叩くこと、または固いもので叩き、痛みや出血や外傷の原因になることを含む
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故意に動物用のゲートで挟む
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豚を移動させたり、トレイラーから降ろしたり出荷する時に高いところに追い込む(動物を落ちるように仕向ける)
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動物を体の一部を持って引きずる
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意図的に豚を落としたり投げたりすること
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手や機械を使って、豚を他の豚の上に容赦なく追い上げる
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ネグレクト(悪意ある無視):飼料や水やケアを与えないことで、動物を衰弱や死に至らしめること
もし意図的虐待とネグレクトが、査定者が目撃したら、すぐその状況を中止させるべきです。そして農場の代表者、オーナーと管理者に知らせます。自動的に査定失格となります。
2)タイムリーな安楽死が実施されている(最重要設問2-5)
ねらい:動物がタイムリーに安楽死されていること。「タイムリー」の定義は、2日間の集中的治療とケアでも応答または改善の兆しがない場合です。以下の場合は即に安楽死させるべきです。
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重傷または歩行不能で回復の見込みのない豚。歩行不能な豚とは、起き上がれない、または支えられ起き上がっても2肢で体重を支えられない豚
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歩行不能でかつボディコンデションスコア1(非常な削痩状態)の豚
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ヘルニアが穿孔(穴が開いた)した豚
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ヘルニア部分が潰瘍化または壊死化した豚
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起き上がった時に、ヘルニア部分が地上にくっつくほど大きくなり、歩行が困難でヘルニアが潰瘍化した豚
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子宮脱・膣脱・直腸脱で治療せず壊死状態になった豚
農場査定では安楽死のプロセスで、動物が人道的に安楽死させられていることを観察すべきです。そして飼育スタッフは、安楽死の方法が使用された後、動物が無感覚になり死ぬことを確認するとことを観察し、その後施設から移動します。査定者に機会がある時は、その農場の安楽死の方法を観察します。農場査定の前に豚が安楽死させられていて、その豚が無感覚だが死んでいない状態であると、査定者が判断すれば、設問5は「失格」となります。
<これ以後の設問は点数が付きます。ワークシートに沿って(表)、繁殖用と非繁殖用に分けて、頭数と該当割合、そして合計頭数と割合を算出します。査定の点数は、合計を基に計算されます。なお繁殖用のみ該当するもの、非繁殖用のみ該当するものあり>
3)動物の扱い
ねらい:米国PQAプラス®で推奨されているように、日齢と状況に応じて動物が適切に扱われていること
動物の扱いを査定者は必ず観察すべきです。もし査定中に動物の扱いが行われていなければ、査定者は飼育スタッフに、その農場における動物扱いのやり方を見せたり、明らかに示すことを要望するべきです。
動物の扱いでは、豚は正常のペースで歩行させるべきです。一方、攻撃的な動物扱いは避けるべきです。攻撃的な扱いの実例は、電気棒の過剰使用や不適切使用、非常大きな声や音で豚を追い立てる、豚を急速に動かそうとする、1グループで多数の豚を同時に動かす、移動用シュートやランプや通路で豚を過密にする、 荒っぽい身体的コンタクト(ソート板で殴打など) です。
哺乳豚と離乳子豚の扱い:これらの子豚は群にして動かすか、または両手で一頭ごと抱えて動かしたり、カートに入れたりして動かします。子豚を降ろす時は、飛節の上から後ろ足をつかんでカートや通路やペンにやさしく降ろします。子豚を地面に離す時、子豚は2点の足(例、2本前肢)を地面についていなければなりません。子豚を放り投げたり、耳や尻尾でつまみ上げてはなりません。長い時間、子豚を抱える時は、扱う人の身体にくっつけてあばらの下から抱えるか、両方の手で後肢を抱えるべきです。子豚の安全のためには小さいグループで動かすべきです。左写真はPQA plus®から。
肥育豚の扱い:肥育豚のグループの大きさは、豚が動かなくなっても、取り扱いは容易なぐらいの小さなグループにすべきです。
繁殖用豚の豚の取り扱い:グループとしてコントロールできるぐらいの小さなグループにすべきです。安全で人道的で効率に、ソートしたり動かしたりするための動物扱い用具は、米国では市販されています。飼育スタッフはこういう用具の適切な使用ができることを明確に示す必要があります。雄豚用の首輪や身体締め具は豚のサイズに合ったものである必要あり。
電気棒は動物を動かす時、主要な道具として使用すべきではありません。もしどうしても使用するなら背中の肩の後ろあたりで1秒以内とすべきです。そのあと同じ豚への2回目の使用には5秒以上の時間をとる必要があります。25%を超える豚に電気棒を使ってはなりません。また歩行している豚には3回以上使用してはなりません。
4)飼育密度
ねらい:90%以上の豚が適切な飼育密度で飼育されていること。適切な飼育密度とは、豚が完全に横臥できること、横の豚に重ならない横臥からの容易な立ち上がりです。
特に個別ストールで飼育されている豚は完全横臥できること、そのためには飼料フィーダーの上に頭をのせて休息していないことと、同時に後ろ身体四分の一がストール横面に接していないことです。個別ストール飼育の豚では、ストールの大きさは、豚が外傷を受けないように豚の身体的な大きさに合わせたものであること。なお接触による外傷が明らかでない限り、豚同士の背と背、腹と腹、背と腹が接するのは適切です。
授乳豚とその哺乳豚は1セットとして観察・評価せねばなりません。分割授乳は分娩した室で実施されれば、それは容認できる子豚の仮の場所とされます。
5)ボディコンデションスコア(BCS)
ねらい:豚は栄養要求量(維持と生産のための)を満たし、BCSが不適切にならないよう給餌されるべき。BCS1の豚が1%以下とされます。BCS1で歩行不能な豚は即に安楽死させねばなりません。左図はPQA plus®から
6)四肢問題
ねらい:重症な四肢問題(重症の定義:立ったり歩行する時も、豚は悪い脚に体重をまったくかけない)がゼロであること(右の表)。
重症な四肢問題のサインを示す豚が2%以下であること。査察人は飼育スタッフに手伝ってもらって、立位の時、豚は自分の体重を支えれることを確認するべきです。
2日間の治療で改善が見えない豚は、農場の現行の安楽死の基準に照らし合わせて決断しなければなりません。
7)外傷
ねらい:皮膚外傷、とくに膿瘍、開放創、尾かじり、肩のただれ傷は、豚が周囲環境に適応しているかを間接的に示す指標になります。
対処法は農場ごと条件によって異なります。対処法には観察、隔離と治療が含まれます。
7-1)膿瘍は、皮膚下で膿がたまり袋状になったもので、皮膚が盛り上がることになります。深い打撲傷や貫通傷や注射の後にしばしば見られます。また腫れた耳は、典型的には血種で、膿瘍ではありません。しかし多くの耳血種が観察された場合は、膿瘍に含めず備考欄にコメントを残し、膿瘍と併発していた豚数も記録すべきです。膿瘍のある豚は5%以下であるべきです。
7-2)開放創は、皮膚を完全に貫通した切り傷、裂傷や開口のある傷です。傷がかさぶたになっている豚は、開放創のある豚の頭数にいれません。開放創のある頭数のみ数えなさい。もし開放創のある場所が、とくに多ければ備考欄に記録。耳の先端壊死と授乳による傷に関連した外傷もここの頭数に入れます。そして備考欄にコメントとして記録します。開放創がある豚は1%以下であるべきです。
7-3)深刻なひっかき傷
ひっかき傷は、皮膚の表面の傷だが、皮膚の真皮の中までは入っていない傷です。深刻なひっかき傷(定義:身体の25%超えのひっかき傷または感染や壊死を伴うひっかき傷)がある豚は2%以下であるべきです(右表)。
7-4)肩のただれ傷は、肩甲骨を覆う皮膚や組織に供給する血管を、体重で圧迫することによって、組織の損傷と病変の形成を引き起こします。治癒しつつある肩のただれ傷がある豚は数えてはいけません。肩ただれ傷がある豚は5%以下であるべきです。
7-5)尾かじり傷は、被害豚の福祉に悪いインパクトを与える行動です。尾かじりは、開放創、出血、感染にまで発展し被害豚を死に至らせる可能性があります。群の中で尾の外傷、出血または尾の感染を引き起こす尾かじりの証拠に注意して記録します。尾の開放創、出血、または尾の感染の証拠がある尾かじりがある豚は、5%以下であるべきです。
7-6)ヘルニアは、腹部または鼠径部の筋肉部からの一部腸の突出です。へそヘルニアと鼠径部ヘルニアがあります。ソフトボール大(直径9.7センチ)を超える大きさのヘルニアがある豚は5%以下であるべきです。
7-7)直腸脱・膣脱・子宮脱症は、直腸内膜、膣、または子宮の外転または裏返しです。これらを発症した豚は、さらなる傷を防ぎ、完全な回復の可能性を高めるために、可能な限り迅速に見つけ、隔離または治療する必要があります。子宮脱の豚は即に安楽死させねばなりません。直腸脱・膣脱・子宮脱症がある豚は1%以下であるべきです。
7-8)外陰部外傷は、外陰部の開放創、出血、および感染症を引き起こす可能性があります。繁殖グループ群での膣外傷で、開放創、出血、および感染症を引き起こしてる外陰部外傷を記録しなさい。外陰部外傷を持つ豚は5%以下であるべきです。下写真は欧州PigCHAMP Pro社から提供、コンピュター制御給餌システムでのグループ飼育での外陰部噛みつき傷。
8)治療管理
ねらい:飼育スタッフは、治療を受けている動物のその後を確認する方法を持っている必要があります。飼育スタッフは、どのような治療が行われたか、そしてその動物がどのくらいの期間治療を受けているかを示すことができなければなりません。また飼育スタッフは、治療の有効性を評価し、必要に応じて、タイムリーな安楽死について適切な決定を下す必要があります。
9)温度快適性/気温
ねらい: 豚が暑すぎたり寒すぎたりすることを示す体温調節の行動を示すべきではなく、豚周囲の気温は生産に適した温度範囲でなければなりません。
気温が生産段階の好ましい温度範囲外であり、豚が体温調節の行動を示している場合。 生産者は、暑さや寒さのストレスを最小限に抑えるために適切な行動をとっていなければなりません。体温調節行動の例として、下図は、3つの異なる気温の環境における10頭の豚の体温調節の横臥姿勢を表しています。画像Aは、気温が低い環境にある豚のペンを示しています。 これらのブタは、ペンの1つの領域に密集した山のように盛って、非常に接近しています。 画像Bは、理想的な気温の環境で、豚は互いに身体的に接触していますが、過度に盛り上がることはありません。 画像Cは、高熱温度の環境にあり、豚はペン全体に広がり、暑いため他の豚との物理的な接触を避けます。
温度快適性に関する査定の点数をつけるための最初のステップは、豚の視覚的評価です。 査定者は豚の周囲気温を測定する必要があります。豚が暑すぎるまたは寒すぎることを示す体温調節行動を示しており、気温が生産のための好ましい範囲外である場合、査定者は飼育スタッフにインタビューして、暑さまたは寒さの変化・ストレスを最小限に抑えるためにどのような措置をとっているかを確認すべきです。
10)輸送/移乗
目的:すべての豚の輸送業者は、輸送品質保証プログラム(TQA®)認定を受けている必要があります。 これは、現在または最近の輸送業者のTQA認定カードまたは名前を提供してTQA®認定を確認することができます。
査定中に輸送のために豚を乗せたり、豚舎に降ろしたりすることが発生した場合、以下を観察する必要があります。
査定には、1台のトレーラーの豚の積み込み全プロセスを含める必要があります。1/3をペンでの観察、もう1/3を通路での観察、残りの1/3をシュートでの移乗を観察することを推奨します。これら3つの場所からの観察は理想的ですが、農場バイオセキュリティの実践または施設のデザインにより、いくつかの観察が制限される場合があります。
輸送用トレーラーは良好なメンテがされていて、適切に輸送/移乗エリアに駐車している必要があります。豚の取り扱い者は、豚が落下しないように移動させる必要があります。豚の落下は、豚が突然直立姿勢を失い、四肢以外の体が地面に触れた時と定義されます。 荷積みまたは荷降ろし中に落下する豚は1%未満とするべきです。歩行不能の豚やTQA®の輸送の非適性リストに一致するような重傷を負った場合は、輸送してはなりません。
トレーラーは輸送中の気象条件に合わせて適切な装備が必要です。気候や生産ステージによって違いはありますが、農場の輸送マニュアルはTQA®に準拠する必要があります。
電気棒について
電気棒は動物を動かす時、主要な道具として使用すべきではありません。もしどうしても使用するなら背中の肩の後ろあたりで1秒以内とすべきです。そのあと同じ豚への2回目の使用には5秒以上の時間を空ける必要があります。査定者は、豚に適用されたときに電気棒にエネルギーが与えられたことを視覚的、聴覚的、または行動的な証拠で、電気棒には充電されていたことを確認する必要があります。
動かす頭数の25%を超える豚に電気棒を使ってはなりません。もし1頭の豚に2回以上電気棒が使用されるなら、1頭と数えるべきです。電気棒は、明らかに歩行不能な豚には使用されるべきではありません。また歩行している豚には3回以上使用してはなりません。 電気棒の過剰使用は、意図的な動物虐待とされます。とくに意図的に動物の弱いところである、眼、耳、鼻、生殖器、直腸にあてることは、意図的な動物虐待です。
11)空気の質
ねらい:豚は空気の質が悪くてもはっきりした兆候を示しません。 例えば、アンモニア濃度は25ppmを超えていないと豚には兆候がでません。 空気の質が悪い時にでる身体的兆候には、水っぽかったり、目ヤニのある目や呼吸困難などがあります。 もしそういう兆候が見られる場合は、アンモニア濃度を測定する必要があります。
アンモニア濃度は、線量計、ガス計、リトマス紙などの多くの技術を使用して測定できます。サンプルは、豚の高さ(床から約30センチ)で、室の中央で豚舎長さの3分の1の間隔で複数採取する必要があります。 豚舎の平均アンモニア濃度を計算します。 豚舎入口やヒーターの近くでサンプルを採取することは避けてください。空気の質に関する査定スコアを得るための最初のステップは、豚の視覚的評価です。 豚が空気の質が悪い時に示す上記の兆候を示している場合、査定者は室内のアンモニア濃度を測定します。
12)緊急のバックアップ換気システム
ねらい:動物施設は、機械的24時間換気が失敗した場合に動物が死亡するのを防ぐための緊急時の手順またはバックアップ機器が必要です。 緊急手順は手動または自動で行うことができ、換気の種類によって異なります。
緊急バックアップ機器は、少なくとも年に2回テストする必要があり、テストを文書化する必要があります。
13)安楽死の計画
ねらい:農場には生産の各段階での書面による安楽死計画で主要およびバックアップ法が必要であり、施設内のすべての飼育スタッフがいつでもアクセスできる必要があります。それは、安楽死に関する現在の米国養豚獣医師会(AASV)のガイドラインに準拠している必要があります。豚の安楽死に使用される機器は、適切に修理され、機能している必要があります。
安楽死の器具の日常的なメンテナンスを実証し、12か月間保持される記録がある必要があります。 安楽死を行うための訓練を受けた飼育スタッフのみが、この器具にアクセスし使用できます。他の人も安楽死装置にアクセスできるかもしれませんが、訓練を受けたスタッフだけが安楽死を行うために器具を使用することができます。査定人は、観察またはインタビューを通じて器具が存在することを確認できます。 備考セクションに農場で使用されている方法を記録します。
米国養豚獣医師会の安楽死法のガイドライン
14)飼育スタッフ訓練
ねらい:飼育スタッフは、動物の世話をする責任がある人です。 飼育スタッフは、農場の日常業務に必要な研修を受けて、かつ明確に実行でき、さらに毎年再研修を受ける必要があります。それらは書面による標準的な操作手順に詳述されている必要があります。
まだ研修を完了していない新しいスタっフは、研修を受けた人が直接監督する必要があります。 研修記録には、日付、研修のトピック、トレーナー、研修生、および研修生の署名が含まれている必要があります。 オンライン研修モジュールは、電子日付スタンプ、研修のトピック、および研修生の名前があるなどが可能な形式の研修です。
すべての飼育スタッフは、採用後 90 日以内に PQA プラス® の認定を受け、雇用期間中は認定を維持しなければなりません。14歳以下の飼育スタッフは、ユースPQA®資格またはYQCA®(Youth for the Quality Care of Animals)の資格をとることで認定できます。
安楽死を担当する飼育スタッフは、文書化された訓練を受け、農場の安楽死に関するプランを熟知していること。訓練を受けた 安楽死を担当する飼育スタッフは、担当する農場の第一ステップ安楽死法と第二ステップ安楽死法、安楽死時の豚の取り扱い方法、無意識と死の確認について明確に説明できなければなりません。安楽死に関する研修には死骸の処理、設備や備品の清掃やメンテナンスも含まれます。
専門的な労働スタッフ(例:ワクチン接種専門スタッフ、輸送・積み出しスタッフ、不定期なアルバイトスタッフ) が査定中に現場で観察された場合、スタッフは、その業務に特化した訓練を明示またはできることを実証できなければなりません。
すべての研修は、すべての飼育スタッフが研修を受けたという記録を確認し、畜舎または畜舎の飼育スタッフからの代表サンプルにインタビューすること、または彼らの実践・実働を直接観察することによって検証することができます。
15)動物ケアと虐待に関する方針と報告書
ねらい :すべての飼育スタッフは、農場でのネグレクト(悪意ある無視)や意図ある虐待は一切許されない(zero tolerance)ことを 知っていること。飼育スタッフは この方針を認識し、虐待やネグレクトの報告方法を理解し、虐待やネグレクトに関連する懲罰のステップを理解し ている必要があります。すべての世話人が研修を受けたという記録を確認し、農場の代表サンプルの飼育スタッフにインタビューすることで、飼育スタッフの知識は確認することができます。
研修を受けたという記録を確認し、納屋の無作為に選んだスタッフに面接することで確認できます。飼育スタッフが虐待やネグレクトを報告するために、報告の仕組みが文書化され設けられていること。すべての報告書は徹底的に調査されます。
16)新生子豚の処理手順
ねらい: 母豚農場には、新生子豚への処理手順(とくに去勢と断尾)に関する標準作業手順書が所定の位置あり、それはAASVのガイドラインに最低限準拠していること。飼育スタッフは、子豚の処理のための責任があるスタッフは、上記の訓練を受けていること。 コメント備考欄で麻酔薬や鎮痛剤の使用を記録すること。
米国養豚獣医師会(AASV)の理事会の去勢と断尾への考え方
(2021年4月8日、AASV理事会承認)
雄の豚の去勢は、攻撃的な行動を減らすために行われます。豚の攻撃的な行動を減らし、豚肉のおいしさを向上させるために行われます。離乳時に傷口が残らないようにするため、外科的去勢は、出生後、離乳前合理的に可能な限り早くに行う必要があります。痛みと感染のリスクを最小限に抑えるため、清潔で鋭い器具を使用しなければなりま せん。
離乳後に去勢手術を行う場合は、鎮痛剤および/または AMDUCA が許可する麻酔プロトコールを使用する必要があります。AASV は、痛みを軽減し、子豚の予後を改善する処置の使用を支持します。これは、実用的な鎮痛剤と麻酔薬使用のプロトコールと外科的去勢手術に代わる方法の開発、認可、実践を含みます。
断尾は、尾かじりと攻撃行動を減らすために実施されます 。離乳時に開いた傷は残さないようにするため、断尾は離乳前の早い時期に行います。
17)施設
ねらい:豚用のペン、床、 出荷シュートと通路は 生産に適したものであり、良好な修理状態であり、豚の傷害のリスクとなっていないこと。給餌器と給水器は、で、豚が外傷を受けるリスクがなく、水と飼料の供給を妨げることがないようメンテされ良好な状態にあること。給水器は、動物が自由に飲むことができるように設計され、配置されていること。
豚舎は、豚が横たわるために乾燥/クリーンエリアへのアクセスを持っているように良好な排水を可能にするために設計されている必要があります。
敷き藁が使用されている場合、それは動物の体に泥や糞尿を付着しないように十分に乾燥している必要があります。深い泥やぬかるみで乾燥した場所がない場合は、容認できません。なお噴霧装置などの冷却装置を使用した結果、床が濡れていることが確認された場合でも、その場所は満点とします。
施設を観察する場合、査定人はサンプルにした豚が収容されているペン、床、給餌器、給水器などを評価しなければなりません。豚を移動するためにだけ使用されている通路は、観察するべきです。監査人の判断でペンに入らないこともできます。ただし、監査人がペンに入ることを必要とする項目があるかもしれません(例、給餌器、給水器、動物の動き、その他を見る場合)。
農場によっては、豚の積み下ろしの際に仮設の出荷シュートや移動式出荷シュートを使用する場合があり、査定時に農場内に出荷シュートがない場合があります。
18)農場サイト評価
PQA プラス®の農場サイト評価を実施し、少なくとも3年に1度はPQA プラス®の認証を継続獲得しなければなりません。新規農場は、操業開始後6ヶ月以内、またはその農場から豚が販売される前に、PQA プラス®サイトステータスを獲得しなければなりません。
19)農場内部での評価
施設、動物、飼育スタッフ、記録についての農場内部のサイトアセスメントは、生産管理チーム(獣医師、監督者、サイトマネージャー、または内部の動物福祉の査定人やその他)によって実施されなければなりません。
上記の4つの分野をカバーする評価ツールであれば、どのようなものでも構いません。生産者は、継続的な改善を支援するフィードバックを提供するツールを使用することが推奨されます。内部での農場サイト評価は母豚農場は少なくとも四半期に一度、離乳豚農場と肥育豚農場では半年に一度実施されなければなりません。
20)毎日の観察記録
ねらい:飼育スタッフは、日々の観察を行い記録し、個々の動物の健康と福祉に対処するために迅速なケアをすること。また、対処すべき施設や管理上の問題をチェックすること。日常的な観察を行う際、スタッフは動物、環境、設備をチェックする必要があります。
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動物の観察には、飼料の摂取、飲水、横臥行動、病気やケガのサインを含めるべき
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飼育スタッフは、豚と豚舎レベルの環境をチェックし、温度と空気の質が生産に適切であることをチェックする必要あり
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換気扇、床材、ペン、飼料フィーダー、給水器、および他の器具は、すべて正常に動作していることをチェックされるべき
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総死亡頭数は毎日記録されるべき
敷地内のすべての動物が少なくとも1日1回以上観察されたことを証明する記録、日付と管理者のイニシャルが記載され、その記録は12ヶ月間保存、または農場新設1年未満の場合は、現在の管理者の下で運営されている期間は保管されていること
21)マニュアルと標準作業手順(SOP)
ねらい:農場では以下のSOP書類が必要です。
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安楽死への対応プラン
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動物の取り扱い
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新生子豚への処置
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給餌と給水のプロトコール
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日々の観察
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管理者のトレーニング
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治療管理
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注射針などの使用方法
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ネスミ類の管理
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バイオセキュリティー
マニュアルやSOPは紙媒体でも電子媒体でもよいが、農場内でアクセスできる必要があります。SOPの中には1つの文書にまとめられているものもあるが、項目が網羅されている限り、これらは許容範囲とみなされます。
22)緊急時行動計画
ねらい:農場は、その地域で起こりうる緊急事態や大災害をカバーする緊急時行動計画を持ち、全従業員が容易に利用できるようにしなければなりません。
農場のオーナー、獣医師、電力会社、消防、警察の電話番号、施設の住所が記載されていなければなりません。
住所のない農場の場合、計画には、農場のGPS座標または道順を含めなければなりません。GPS座標または最寄りの町からの道順を記載する必要があります。
緊急連絡先と施設の住所は必ず見えるところに掲示すること。
すべての飼育スタッフは、運営に関する緊急時の手順と緊急時行動計画を熟知していなければなりません。
23)死亡豚の記録
ねらい:農場サイトではその農場で発生した死亡豚、と安楽死させた豚を含む総死亡頭数の記録を保持しておく必要があります。死亡率の記録は最低12ヶ月間、または所有者が変わって1年以内の場合は、農場が現在の所有者の下で運営されている間、保持されなければなりません。
24)死亡豚の管理
ねらい:死亡豚を発見した場合、他の豚ための飼料、水、換気を確保・確認した後、その場所から搬出します。
査定中にその内で死亡豚が発見された場合は、最後の豚舎チェックが完了したときに飼育スタッフと確認します。飼育スタッフによる最後の豚舎チェックと査定の間に豚が死亡した可能性がある場合、この設問では満点ポイントを与えられるべきです。母豚と子豚の福祉のために、分娩が完了するまで、死亡豚の撤去は遅れることがあります。
ポーク安全度
1)投薬・治療記録
ねらい:獣医師と生産者と豚の関係(VCPR)は、飼育スタッフと獣医師がその農場の豚の健康と幸福を確保するために協力することを必要とします。
VCPRとは、獣医師が動物の健康状態や治療の必要性を獣医学的に判断する責任を負い、生産者(農場の所有者や飼育スタッフ)が獣医師の指示に従うことに同意していることを意味します。
このような関係は、獣医師が、一時的診断を行うためにその動物に関する十分な知識を有し、かつ、その農場での豚の管理とケアについて個人的によく知っている場合に可能です。それは適切かつ適時に農場訪問し豚を診察していることで可能です。
農場では、生産者と獣医師は、豚の健康と幸福を確保するために、一緒に仕事を実施する有効なVCPRを持っている必要があります。
VCPRは、日付入り動物用飼料指示書、日付入り獣医処方箋ラベル、獣医師からの日付入り農場訪問報告書、または獣医師からの関係確認書により確認することができます。なお検証は、過去12ヶ月以内の日付である必要があります。
管理者は、FDAのCompliance Policy Guide (CPG)のSec.7125.37にある非獣医師による適切な薬物使用および薬物残留回避のためのCPG に従わなければなりません。このCPGは、FDAがその事業者の標準作業手順として期待する実務と手順を概説しています。FDAは、生産者が投薬(ワクチン含む)や治療記録を維持することを期待しています。
投薬の記録(以下の表参照)は、薬物の適切な使用を証明する文書です。投薬・治療記録は、以下の期間保管する必要があります。動物が治療を受けた後12ヶ月間、または 1年以内の場合は、現在の所有者の下で運営されている期間、保管する必要があります。
過去12ヶ月間、動物の治療を行っていない農場や、抗生物質不使用の販売プログラムに参加している農場でも、動物の治療を行っていないこ とと、それらの動物がいつ販売されたかを示す書類を提出する必要があります。
ほとんどの動物用医薬品は、清潔で乾燥した暗い場所での保管が必要です。ラベルに記載されている適切な薬剤の保管方法、またはSOPや獣医師の推薦によって適切な保管方法に従ってください。動物用医薬品は、期限切れであってはなりません。は、期限切れであってはなりません。動物用医薬品は、製品ラベルが貼られたオリジナルの容器で保管する必要があります。製品を別の容器に入れる場合 別の容器に入れられた場合は、誤認を防ぐため、直ちに明確なラベルを貼らなければなりません。
獣医師と生産者と豚の関係(VCPR)を持ている獣医師のみが、その農場での適応外薬品の使用を指示することができます。
米国では動物用医薬品使用明確化法(The Animal Medicinal Drug Use Clarification Act: AMDUCA)が制定され、FDAが承認した医薬品を豚に合法的に使用することができるようになりました。AMDUCAは、FDAが承認した医薬品を、ラベルに明示されていない方法豚に合法的に使用することを可能にする法律です。
AMDUCAは、「動物の健康が脅かされている場合、または、治療しなかったために苦痛や死亡が生じる可能性がある場合」に限り、獣医師にのみ医薬品のラベル外使用の特権を与えるものです。
動物用飼料抗生剤の処方箋(VFD)または飼料用抗生剤の使用記録は、FDAのガイドラインに従って保管する必要があります。
VFDのコピーは、レビューのために利用可能でなければなりません。
2)注射針など尖ったものの使用
ねらい:薬剤が正しい組織に届くように、適切なサイズと長さの針を使用します。
16ゲージ以上のサイズ(番号の小さい方)の針は、すぐ見つけることが可能であること。これは、針なし技術を使用している農場には適用されません。
動物から血液を採取する、母豚を誘導する、または文書化されたSOPまたは獣医師の推奨に従 うといった特定の理由で、PQA プラス®の推奨事項を満たさない異なるサイズの針が施設内に存在する場合があ ります。
飼育スタッフのインタビューにより、針が獣医師の推薦に基づく特定の理由で使用されていることが示された場合、質問81は容認できるとマークされるべきです。
針の使用に関する標準作業手順書(SOP)を作成することで、論理的かつ一貫した方法で針の破損に対処することができます。
現場に注射針が存在する場合、現場は注射針使用のSOPを持たなければなりません。
注射針の破損が発生した場合、農場のSOPに従って記録し、動物を特定しなければなりません。飼育スタッフは、施設の注射針使用SOPに詳述されているように、注射針の破損に特化した訓練を受け、明確に説明できるようにしなければなりません。
SOPには、予防、折れた針を持つリスクのある豚の識別、その動物をどうするかという手順が含まれていなければなりません。以下は実例です。
予防
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針の強度、検出性などの特性評価
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強度や検出性などの針の特性の評価
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全飼育スタッフに針の使用ガイドラインを周知
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折れた針を持ち込む危険性のある豚の特定
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折れた針の発見ができるように
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従業員の研修
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すべての関連情報を記録
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これらの動物で何をすべきかの手順を決めておく
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折れた針を持った豚をどう識別するか
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もしもの場合どのようにパッカーに通知するか
注射針類は、環境汚染や家畜への危害を防ぐため、米国の州の医療廃棄物に関する規制に従って廃棄する必要があります。
適切な廃棄方法には、使用後すぐに、穿刺防止用の硬質容器に注射針やナイフを入れることが含まれます。ガラス容器は使用できません。容器は、農場内および最終処分場までの輸送の両方で、針が刺さるのを防ぐ必要があります。
注射針類の廃棄容器は、注射針類であることを明確に表示し、米国の各州の規制に従ってください。容器が満杯になったら キャップまたは蓋をしっかりと締め、厚手のテープで密封することができるものである必要があります。
3)バイオセキュリティ
ねらい:バイオセキュリティとは、農場内に病気や病気の原因物質が持ち込まれたり、伝染したりしないようにするための管理方法の組み合わせです。
バイオセキュリティープランは、以下を含まなければなりません。
1. 豚舎の衛生管理
2. ネズミ類の防除
3. 作業員・訪問者入室規定
4. 一般的な農場の安全対策
効果的な防鼠計画には、以下のものが含まれる必要があります。
1. 施設へのネズミの侵入を防ぐ
2. ネズミを誘引し維持する可能性のある餌の供給源を除去すること。
3. ネズミの居場所を作らない、または作れないようにする。
4. ネズミの個体数を減らすための毒餌・捕獲 – 毒餌場の位置とその検査の詳細を含む。
ネズミ類防除計画の必要な詳細は、バイオセキュリティのSOPに含まれる場合もあるし、別の文書になる場合もあります。
ネズミ駆除SOPが遵守されていることを示す証拠がなければなりません。例えば、餌場が設置され、そこに毒餌があること。
農場は、農場を訪問するすべての個人について訪問者ログを記録しなければなりません。農場は、バイオセキュリティ順守のために、施設周辺に適切な標識やその他の方法を設けて、アクセスを制御・制限しなければなりません。例としては、監視カメラ、施錠されたゲートやドアなどがあります。
農場査定の事前準備
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査定人は生産者に連絡し、農場査定のための農場訪問のスケジュールを決める
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生産者へ査定用紙のコピーを送り、その農場のバイオセキュリティ法についての書かれたのマニュアルを送ってもらい、かつ在籍豚頭数を聞く
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その農場のバイオセキュリティの方法を確認。これは農場訪問した際に、査定の流れのスケジュールと計画に必要
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施設における動物飼育の責任あるスタッフは、査定時にいてもらう必要があります。もし通訳が必要なら準備
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施設のサイトマップをもらい、生産の各フェーズにおける豚の在庫頭数、ハウジングタイプを聞く。必要サンプリング数を計算し、査定の流れを計画するのに役立ちます
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バイオセキュリティのマニュアルについては、本社においてある場合でも、その査定場所で調査確認すること。査定が終わったら、すべての返還すること。
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生産者に対してどんな記録が必要か、農場訪問時にはどんな記録をどのように調査・確認で使うかを知らせておく
査定人のためのバイオセキュリティ
大部分の農場では訪問者が従うべきバイオセキュリティのマニュアルがあり、それに従う。もしそのバイオセキュリティのマニュアルがない場合は以下の基礎的な原則に従う。
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農場訪問前には最低24時間のダウン時間(空白時間)をとる。査定人は農場訪問時には、シャワー浴び、衣服を換えることを常に確実にするべきです。
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もし査定人がインフルエンザ様やその他の伝染病の病気または回復中の場合は出張延期し、症状がなくなって最低24時間待ちましょう。
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もし訪問予定の農場で病気が多発しているまたは回復途中なら、農場の豚が完全に回復するまで、訪問は延期しましょう
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資料と器具の計画的準備のために、前もってどんな資料が農場で用意できるか聞いて、何を農場査察で使うか決めておきましょう。常に生産者が用意できる資料を使用しましょう。
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どんなものが農場に持ち込めるかも聞きましょう。例えば、バインダー、紙、ペン、アンモニア入り管、ガムテープ、温度計などです。もし持ち込めないなら、農場で用意しておいてもらいましょう。また使い捨ての作業衣服、手袋、ブーツ、ヘヤネットやマスクは農場で用意しているか確認しましょう。
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1農場について1組の手指消毒薬、消毒布とゴミ袋とシールできる1リットルサイズのプラスチック袋を準備して、査察人の車のクリーン場所に置きましょう。重要:農場を出る時には、農場で使用したものはすべてクリーンに消毒。
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査定人の使用の車両、車両の中をクリーン区と汚染区に分けるべき。例えば車の内部をクリーン区としトランクを汚染区とする、またはトランクの中のバッグや密閉できる箱を汚染区とするなどです。汚染した作業衣はクリーン区に接触してはなりません。同様にクリーンなものは、汚染区においてはなりません。
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駐車は、生産者によってマークを付けられた場所に駐車すべきです。できれば、豚舎や糞尿置き場から最低150メートル離れた場所に駐車すべきです。舗装面か砂利敷の場所に駐車すべきで、農場のぬかるんだ場所には駐車すべきでありません。ハエが車内に入らないようにすること。
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駐車後、車の中またはその横で使い捨ての作業衣とブーツ(2重に着用し、1枚目は施設に入るとき脱ぐ)、ヘヤ―ネット、手袋とマスクを装着しましょう。持ち込み可能な必要道具:ゴミ袋、手消毒薬、消毒布、シールできるプラスチック袋を用意して、農場査定が完了した後に使うために、使いやすい場所そして豚舎から離れている場所に置きましょう。
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農場から出る時は、シャワーイン同様にシャワーアウトもすべきだし、シャワーアウトなしにもう一度施設に入ってはなりません。施設の外側の査定プロセスは動物施設の外側で実施を計画すべきです。例えば、緊急のバックアップ用電源は、施設に入る前または施設内での査定が完了した後に実施されるべきです。その施設に対するバイオセキュリティの設定を理解しておくことは、農場査定の順番を決めるのに役立ちます。また農場のレイアウトを知っていることも、空気の質の測定の回数を決めるのに役立ちます。
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農場を出る時、書類はシールできるプラスチック袋に入れましょう。使用した道具とプラスチック袋の外側は使い捨て消毒布で拭き乾かしましょう。作業衣を脱ぎ、ゴミ袋に使用済消毒布と一緒に入れきっちりと締めましょう。生産者に依頼しましょう、農場を出た後に袋を捨ててくれるか、トランクの汚染区に入れて持ち帰り普通ゴミとして捨てるべきか。最後に、自分の車両のクリーン区に入る前に手指用の消毒薬で手と手首を消毒しましょう。
代表サンプルの抽出方法:観察・評価する動物の決め方
ステップ1、農場における豚の頭数を確認し、豚舎のタイプごとの数を確認
生産者に生産フェーズごとの現在の動物の在庫数と豚舎のタイプを聞くこと。繁殖部門は、成熟した更新若雌豚、母豚、雄豚と新生子豚
非繁殖部門は、離乳子豚、肥育用子豚、出荷用肉豚、若雌育成ユニット(GDU)にいる若雌豚は非繁殖豚とすること。
授乳豚とその哺乳子豚は1ユニットとして評価すべき。新生哺乳豚は在庫頭数に入れるのでなく、無作為抽出した授乳母豚の子豚群として評価することで査察に入れること。なお1腹当り2頭の哺乳豚に外傷があっても、その授乳母豚ユニットでは1つの外傷発生となります。ただし、コメント欄に詳細は記録すべきです。
ステップ2、表1に基にして、それぞれの繁殖用と非繁殖用毎で観察すべき豚頭数を決める
査定ではすべての豚を観察するべきです。しかしベンチマーキングとしては、在庫頭数からの統計的必要サンプル数が計算されます。ベンチマーキングとしては健康な豚を観察すべきです。ホスピタルペンや病豚用ストールにいる豚(特別に注意やケアを受けている場所と豚)、または淘汰用ペンにいる豚は、安楽死や治療処置管理を評価する時にのみサンプルに入れる必要があります(査定質問2-5、34,35,85-86)。
表のサンプルサイズ早見表は、95%信頼レベルで、最低1%の問題豚を見つけるのに必要な統計的なサンプル数です。表を使用して、何頭を観察すべきか決めなさい。表から切り上げ法(四捨五入でなく)で繁殖用と非繁殖用毎の総頭数を決めなさい。例えば、210頭の豚がいれば、250頭に切り上げなさい。
ステップ3、繁殖用と非繁殖用毎で、日齢と豚舎タイプでそれぞれの代表サンプル割合を計算しましょう。例えば、割合=妊娠豚舎内の母豚数÷繁殖用の総頭数
ステップ4、繁殖用と非繁殖用で、日齢と豚舎タイプでそれぞれの割合を計算し、その農場サイトの代表サンプル頭数を決めなさい。例えば、繁殖用豚の総頭数×妊娠豚舎での割合=個別飼育で観察すべき頭数、豚舎にあわせて頭数はつねに切り上げしなさい。
ステップ5、豚舎に入る前に、何頭またいくつペンを観察するのか決めなさい
ステップ4で計算した頭数は最低頭数です。すべての室と豚舎の豚を観察サンプル数に入れる必要があります。そのため計算したより多くの頭数を各フェーズや豚舎タイプで観察する必要な場合があります。バイアスを防ぐために、必ず豚舎に入る前にどんな豚を観察するか決めておきなさい。グループ飼育の場合は、観察すべき頭数÷ペン当り平均頭数で=観察すべきペン数(切り上げ数、例えば6.1ペンだと7ペンに)。
ストールまたはペンを選ぶには、総ストール数または総ペン数÷評価すべき最小頭数で数をだし、3とか5とかラインで整数毎のストールまたはペンを選びます。もし間に治療用ペンや空のものがあればスキップします。
もし、サンプル数の関係で、その農場サイトの複数の豚舎や室から各1または2の豚舎・室を観察しなければならないなら、コインかサイコロを使って無作為に、豚舎の違った場所の豚を観察できるように、どのペンを選ぶのか決めましょう。もし、7豚舎毎に1ペンを選ぶ必要がある場合もあるでしょう。その時はどの豚舎も入り口の1番目のペンということはないようにすべきです。
農場に入る前に決めたサンプルサイズ以外の問題で、どの様な豚もサンプルに入れてはいけません。そのことは生産者にも知らせておくべきです。例外としては、意図的な虐待や人道的安楽死に関連した観察です。
実例、繁殖・肥育一貫飼育で母豚グループ飼育と個別飼育の農場サイトで観察すべき頭数をきめる
ステップ1、各豚舎で何頭飼育されているか確認せよ
実例は、繁殖・肥育一貫飼育で6435頭:435頭が繁殖用でうち325頭が妊娠豚舎でストール飼育、50頭がグループで一つの室で飼育され、50頭の母豚が1つの分娩室でクレートで飼育、種雄豚10頭が妊娠豚舎で飼育されている。非繁殖用では6000頭が飼育され、1つの豚舎で1ペン20頭で100ペンで離乳子豚を、2豚舎で1ペン当り20頭で200ペンで肥育豚を飼育している。
ステップ2、表1から各フェーズで最低何頭を観察するか見る。実例では、表1から繁殖用で218頭、非繁殖用で294頭を観察すべき。表1の数字がない場合は、繰り上げること。
ステップ3、繁殖と非繁殖用で日齢と豚舎タイプで農場サイトでの代表サンプルを決める割合を計算する。実例では合計518頭を日齢と豚舎タイプでステップの割合で配分します。
ステップ4、繁殖と非繁殖フェーズで日齢と豚舎タイプで農場サイトでの代表サンプル頭数を計算する。実例では、妊娠豚では164頭のストール飼育豚、27頭のグループ飼育豚、7頭の種雄豚で合計225頭の繁殖用豚がこの農場サイトでの観察すべき頭数です。また98頭に離乳子豚と197頭の肥育豚で合計非繁殖用豚では郷駅295頭が観察すべき頭数です。なお繰り上げが鉄則で、表1の頭数以上を観察すべきです。そしてサンプル豚としてすべての室・豚舎からの豚をサンプルにいれるべきです。
ステップ5、豚舎に入る前に、何頭何ペンを観察するか決める。妊娠期母豚数のためには、325ストール数÷164(最低観察頭数)。このサンプルサイズの場合2ストールごとに1ストールを選択し、そして2ストールを追加観察する必要があります。グループペンのためには、27観察すべき頭数÷50(ペン当り平均頭数)です。なお計算は繰り上げが鉄則です。1豚舎で1ペンなので、この場合はすべての妊娠豚を観察します。分娩舎での観察頭数は、50クレート数÷27観察すべき頭数です。このサンプルサイズの場合2クレートごとに1クレート選択し、2クレートを追加観察する必要があります。
離乳子豚では、98観察すべき頭数÷20頭(ペン当り頭数)で、5ペンです。このサンプルサイズのためには、100総ペン数÷5ペンですので、
5ペンごとに1ペンを観察します。肥育豚では、197観察すべき頭数÷20頭(ペン当り頭数)で、10ペンを観察します。このサンプルサイズの場合、200総ペン数÷10ペンですので、20ペンごとに1ペンを観察します。重要:サンプル豚としてすべての室・豚舎からの豚をサンプルにいれるようにすべきで、この場合には20ペンごとに1ペンですので、2豚舎あるので豚舎当り5ペンを観察します。