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経営セクション:人事と労務管理

A. 給与とボーナス

B. 従業員の休暇

C. 福利厚生・休日出勤

D.労務管理

E. 採用

F. パートタイム

G. 職場の安全策

  • 賢人たちの人事の知恵1、カストロ博士

  • ​賢人たちの人事の知恵2、ルーエン博士とフェアモント獣医クリニック

  • ​​繁殖部門の労働時間と割合

米国養豚農場での給与・福利厚生・労務管理・採用・パートタイマー・従業員安全策

 経営にとって、人事は組織をまとめるのに重要です。人事には給与・福利厚生・労務管理・採用・パートタイマー・従業員安全策が含まれます。経営の参考になる情報として、米国農場での調査を紹介します。

 38社の大農場と1994社の中小農場に調査票が送られ、29大農場(参加率:76%)と252中小農場(参加率:13%)が調査に参加しました。大農場は母豚25000頭以上を飼養し、中小農場は25000頭未満か肥育豚1000頭以上飼育している農場です。どちらも専任の従業員を雇用している農場です。

 大農場は母豚25000頭以上所有する農場ですから、米国の巨大農場です。中小農場には、母豚20000頭も所有する、日本の感覚だと結構大きな農場も含まれています。専任の人を雇用している農場ですので、母豚50頭未満の農場は含まれていないようです。米国養豚の中核になっている農場群と思われます。よくこれだけの調査ができたものと感心します。報告書は60ページからなり、給与・福利厚生・労務管理・採用・パートタイム・従業員の安全の6部門からなっています。なお、1ドルは100円として円換算しました。

生産形態と従業員数の分布(図1)

 大生産者の70%は、母豚を所有し肥育豚を販売する形態(インテグレーターと呼ばれる一貫生産)で、30%はそれ以外(豚を所有し、どこかのステージで販売)でした。中小の農場ではインテグレーターは30%で、それ以外は70%でした。

 大農場だと2500人を超える従業員を雇用しているのです。大農場だと2500人以上を超える従業員を雇用している農場が10%あります。中小農場でも、100人から250人の従業員を雇用している農場が5%あります。でも中小農場の64%が9人以下です。

規模別従業員数

A. 給与とボーナス

 米国農場で働く人の構成は、シニア管理者、農場のマネージャー、その補佐、飼育スタッフ、補助要員もいます。また多くのスペシャリスト職があります。農場のマネージャーも、大農場になると生産部門のマネージャー、エリア・マネージャーも1農場だけのマネージャーの上にいます。米国は職種によってずいぶん給与が違います。マネージャーグループは年収ですが、飼育スタッフは時間給です。どちらも2週間に一度、小切手が送られてきます。

飼育スタッフの時間給(図2)

 経験年数0でスタートする人と5年以上の経験のある人に分けて調査されていました。経験年数0では、時間給は大農場では、951円から1150円が48%を占めましたが、中小農場ではそれより2割くらい高く1150円から1250円が38%を占めました。未経験者に対しては中小農場の時間給が高いようです。

 経験5年以上では、大農場では、時間給1150円から1350円が48%を占めましたが、中小農場ではそれより2割くらい高く1350円以上が58%を占めました。ベテランに対しても中小農場は飼育スタッフに多く払っているようです。とくに中小農場では時間給1551円以上という最高ランクのスタッフがいます。重要な仕事を任されている飼育スタッフということなのでしょう。一方、大農場では時間給1551円以上の飼育スタッフはいません。なお合計が100%になっていない場合は、その他というグループがあるからです。

経験年数と時間給

職種別規模グループ別年間給与 (表1)

 参加農場の回答のしかたが、給与幅で回答するようになっているため、その幅の割合で表しています。マネージャー職は繁殖部門では4グループ、肥育部門では3グループあります。繁殖農場マネージャーは1つの農場の責任者で、マネージャー補佐と飼育スタッフとともに現場を指揮します。繁殖農場の地区マネージャーは複数の農場の責任者で、各農場を巡回・指導しています。繁殖部門マネージャーは部長というところでしょう。このクラスになると年収10万ドルに手が届きます。米国の養豚農場がある地方(都市でない)の生活レベルで、年収10万ドルはすごい高いと思います。自分の経験から、繁殖農場マネージャー補佐は文字通りの右腕で、現場スタッフを指揮してよく働く人が多かったようです。

 肥育農場マネージャーは、複数の肥育農場の責任者で、繁殖農場マネージャーと同等の年収です。

職種別の年収

 大農場では各種スペシャリストが雇用されています。米国の会社では、仕事を細かく専門にわけるのが特徴です。表2のように、各部門で多くの専門職があります。各スペシャリストとも給与のバラつきが大きいようです。スペシャリストですから、腕の違いでしょうか。会計マネージャーや獣医師は、1000万円の人もいます。獣医師については米国養豚獣医師会でのサラリー調査より低いようです。仕事によってマネージャー級がない職もあるようです。給与支払いは会計マネージャーがいます。採用・訓練は人事マネージャーがいるでしょう。

職種別の年収2

 大農場も中小農場もサポート職がいます。以下のように時間給です。テクニシャンというのは時間給で安いです。時間給1200円×週40時間×52週=約250万円の年収です。マネージャーにならないと、たとえ生活費の安い地方でも、生活が楽ではないと思われます。車整備の時間給の幅が広いのは、経験による違いかと思います。職種についての詳しい説明はないのですが、環境テクニシャンというのは、糞尿処理・環境整備の人と思います。オフィス・マネージャーといのは、マネージャーという名前ですが、時間給です。

職種別の年収3

一方、大農場にはマネージャーのさらに上のシニア管理職がいます。1000万円以上という高収入の人もいます。ただし、彼らは最高経営責任者ではないので、もっと上がいて給与もすごいと思われますが、調査されていません。

上級管理職の年収

成果ボーナスプラン

 大農場での86%、中小農場の46%が、基準以上の成果がでれば、成果ボーナスプランを用意していました。つまり大農場での14%が、中小農場の54%はそういう成果ボーナスプランはないということです。従業員がボーナスにとらわれすぎるとよくないからでしょう。

 どれぐらいの成果ボーナスをだしたかというと、大農場では、農場マネージャーに平均58万円、飼育スタッフには27万円をだし、中小農場では、農場マネージャーに平均51万円、飼育スタッフには29万円をだしていました。

 その成果は何を基準にするかというのが表5です。年間母豚当り分娩子豚数は、分娩時に1頭でも多くの子豚を助けたいためにだした基準と思われます。年間母豚当り離乳子豚数は、最も多くの農場が利用している基準です。母豚回転率を上げ、1腹当り分娩子豚数を増やし、哺乳中子豚死亡率を減らすということで、種付けと授乳中の管理をよくするのに使用されています。ただし、どちらの指標も、育種会社で毎年改良されていますので、毎年上げていってるだろうと思われます。受胎率と分娩率は、種付け部門のための指標と思われます。

 年間スペース当り出荷頭数や年間生産豚肉量や死亡率や飼料要求率は、肥育部門の指標と思われます。まさに農場の収益に直結します。飼料要求率は育種会社が、狙って改良していますので、毎年上げていっているだろうと思われます。財務指標というのは詳しい説明がないのですが、興味のあるところです。どの指標も一度、大きな伝染病がでると、達成が難しくなります。その意味でも、農場の健康管理は大切です。

ボーナス成果

B. 休暇

 最近の日本の学生たちは、給与だけでなく休暇福利厚生の充実度を重要視しています。長く勤務するなら、休暇福利厚生は重要です。欧米では休暇の取り方が日本とは違って長いです。欧米で暮らす人々にとって、休暇は質の高い人生の重要な柱のようです。若い学生の志向もそちらに向かっています。

有給休暇とホリデイ休暇

 大農場では、34%で伝統的なホリデイ休暇があり、62%で有給休暇があり、一方、中小農場では、49%で伝統的なホリデイ休暇があり、26%で有給休暇があったのですが、17%がそういうのはないと回答しました。伝統的なホリデイである国民の休日のための休暇は5日から10日でした。

 ホリディ休暇に加えて長期休暇としては、大農場では、70%が10日から14日、30%が7日から9日でした。中小農場では、54%が10日から14日、23%が7日から9日でしたが、16%が15日以上の休暇がありました。2週間というのは、日本人からすると長い休暇です。

病欠プランの日数

 いつも健康で働けるとは、限りません。大農場では、50%が1~3日、50%が4~6日の病欠プランがあり、中小農場では、41%が1~3日、29%が4~6日の病欠プランがあり、さらに残り30%では7日から18日以上までの病欠休暇があるそうです。

C. 福利厚生

 長い人生、長く勤務するには、福利厚生も大切です(表6)。詳しい説明がないのですが、退職プランというのは、退職金などかと思います。利益共有プランは、会社に利益が出た時に、何%かを従業員に配分することと思います。なお大農場でも失業保険がない農場もあるようです。

 研修・訓練は、従業員の成長のために必要です。卒後教育とは、集中セミナーを受けたり、大学でパートタイムで勉強することを含むと思われます。ミネソタ大学には多くの社会人が、勉強に来ていました。米国の大学は、実社会で役に立つ研究・教育を実施しているからだと思います。農場マネージャーだけでなく飼育スタッフも同様なものがあります。

 携帯の貸与が大農場で少ないのは、仕事と家庭生活を分けたいせいなのかもしれません。家の貸与や電気水道提供などは、農場敷地内または近くに家があるせいでしょう。豚肉現物給与は、養豚農場ならではです。私の知っている例だと、豚丸1頭分の肉を現物給与していました。米国では家庭用の冷凍庫も大きいせいと思われます。

福利厚生

健康保険(表7)

 日本は国民全員が健康保険に入っているのですが、米国はそうではありません。大農場ですと100%医療保険に入れるのですが、中小農場と52%です。米国の健康保険事情は非常に厳しいのです。健康保険は非常に高いので、個人で入るのは厳しいのです。とくに歯科の保険は高いのです。さらにプレミアム健康保険だと100%カバーしてくれるのです。ここまでの保険は、大農場でも難しいようです。

米国の健康保険

​休日出勤

週末の勤務

 農場だと誰かが週末に勤務している必要があります。大農場では、飼育スタッフの90%が1カ月に2回の週末勤務があると回答しています。中小農場でも51%が1カ月に2回の週末勤務、17%が3回の週末勤務があると回答しています。その場合には取り扱いはどうなるかは関心のある所です(表8)。週40時間の普通の労働時間の中という農場もあるのですが、代休や休日出勤として割増で支払いなど何らかの処遇があるようです。その他というのが気になります。中小農場では、何か特別なことがあるのでしょう。

休日出勤の取り扱い

D. 労務管理

農場内の人種と男女の多様性

 大農場では、36%がヒスパニック系(中南米系)であり、中小農場では21%がヒスパニック系と回答しています。大農場では、29%が女性スタッフであり、中小農場では18%が女性スタッフと回答しています。

 

離職率

 大学では、就職した卒業生の退職率をすごく気にします。採用担当の人と会う時は、必ず離職率を聞いています。多くの人事部の採用係は、定年退職を含めて1割くらいと言います。分母が会社全体の従業員数だと、離職率は低くなります。

 本レポートでは、飼育スタッフの離職率は、大農場が35%で、中小農場で20%と回答しています。日本の会社で言われる1割より高いようです。米国の友人たちも、米国農場における離職率の高さを認めています。

 離職率の計算方法は、掲載されていないのですが、その年度に離職した従業員の人数÷期初と期末の従業員の平均×100だと思われます。離職した人数に、引退した人も含まれているかどうかは不明です。離職でも米国は、自分から辞職する場合のほかに、解雇というのも日本よりは多いです。それについてはレポートで触れられてはいません。

業績評価

 大農場のうち83%が年に一度、7%が半期に一度、7%が四半期に一度の業績評価をしていると回答し、中小農場では、51%が年に一度、9%が半期に一度、10%が四半期に一度の業績評価をしていると回答しました。評価なしというのが、大農場では0%でしたが、中小農場では27%もありました。

 従業員の意欲アップのための方法は気になるところです(表9)。ボーナスや昇進のほかに、認定・顕彰や訓練・教育の機会を与えるなどがあるようです。訓練・教育の機会を与えるというのは、従業員の成長のためによいことです。認定・顕彰制度は、米国ではあらゆる会社にあります。褒めて伸ばす米国のやり方のいいところかと思います。

従業員の意欲アップ

E. 採用(表10)

 

 特別に人気のある業種以外は、採用は難しい。米国では、マネージャークラスと飼育スタッフにわけて採用しているようです。大学での採用とともに、規模に関係なく、職種に関係なく、紹介・推薦や口頭での採用、さらにインターネットやソーシャルメディアでの採用活動が多くなっていると思います。報告書には詳しい説明がないのですが、口頭というのは、自分の周囲の人を勧誘する場合と思われます。あらゆるチャネルで採用活動が行われているようです。

採用方法

採用が最も困難な職は?

 大農場では、採用が困な職として、79%が生産スタッフ、59%が農場マネージャーと回答しています。中小農場では52%が生産スタッフと、22%が農場マネージャーと回答しています。さらに中小農場では、32%特定の役割なしでの採用は困難と回答しています。

 

外国人の採用

 大農場では41%が外国人を採用し、中小農場では10%が外国人を採用していると回答しています。ここでいう外国人とは、米国市民以外で、外国人で被雇用可能なビザまたはグリーンカード(永住権)をもっている人です。

F. パートタイムの人(図3と4)

 大農場の81%がパートタイムの人を雇用していて、中小農場でも61%がパートタイムの人を雇用していると回答しています。大農場では、5人未満が31%で、中小農場では50%でした。大農場では21%が、30人以上のパートタイムで働く人を雇用していると回答しています。

 週当たりの平均時間数は、大農場では週当り15から25時間が68%で、中小農場では、10時間未満から20時間までで70%をでした。中小農場のほうが、パートタイムの人の働く時間が短いようです(図3)。

 パートタイムの人の最も多い時間給は、800から1300円でしたが、中小農場では1500円までとバラつきました(図4)。中小農場では、パートタイムながら中心で働いている人がいると思われます。

規模別の週当たり時間数
規模別の時間給

G. 従業員の安全策

 農畜産業というのは、事故での外傷が起こりやすい産業です。また火事や地震や大雨などの天災の被害も受けやすい。その中で従業員の安全を守るための仕組みは大切です。表8に米国で採用されている安全策についての回答をまとめました。多くの大農場とでは、さまざまな安全策が採用されているようです。見習いたいものです。

従業員の職場安全

経営の賢人達の人事の知恵1

カストロ博士の場合

 カストロ博士はミネソタ大学で博士号を取得、豚になじみのなかった南米チリで母豚5,000頭を飼育する農場を建設運営し、当時ミネソタ大学のダイアル博士から世界一の優良養豚家と評価された人です。人柄も良く、人を知り、豚を知る人でもあります。彼は若雌豚マネジメントの第一番目として人事管理を上げています。よい人なしには、よい母豚ができないとしているのです。

 農場経営に必要な人事構成としては、農場マネージャー、農場スタッフ、部門マネージャー、外部と内部の技術アドバイザーがあり、中でも、農場マネージャーを中心に、チームを作るべきだとしています。以下が彼の人事のポイントです。

  • 会社使命(mission statement)をはっきりさせる

  • 連続して改善できるように、共通でかつ具体的な目標をはっきりさせ、チームとしてことにあたる

  • 一日の仕事での個人またはグループでの責任をはっきりさせる。

  • 成功は全員の仕事の結果であることを教える

  • 農場マネージャーは、農場スタッフにたいして激励と仕事の方向を与える義務がある

  • 変化の最重要な原動力を人に置く

ルーエン獣医師とフェアモント獣医クリニックの場合

 ルーエン獣医師は、米国ミネソタ州養豚地帯にあるフェアモント獣医クリニックの獣医師です。フェアモント獣医クリニックは養豚専門獣医師が7人所属し、担当農場は約30戸で約5万頭の母豚の指導をしています。さらにフェアモント獣医クリニックは、生産者のために農場スタッフの雇用の会社も所有し、生産者のために人事管理を行っています。養豚生産で人事は最も重要なもののひとつとしています。

 

 良い人材が良い農場をつくります。よいリーダーシップなしでは、どのような素晴らしい計画も、とん挫してしまいます。とくに繁殖農場には、「よいマネージャー」が必要です。さらに優秀で安定して働いてくれる農場スタッフが必要です。フェアモント傘下の繁殖農場は繁殖雌豚1200頭から5000頭規模ですが、農場ごとに、優秀なスタッフが最低2人は不可欠です。優秀な農場スタッフとは、沈着で注意深く、豚を「よく飼える人」です。

 農場における人事管理については、「ティーチング法」と「命令法」があります。優秀な飼育スタッフ育成のために、養豚農場では以下のティーチング法が有効です。以下が「ティーチング法」のポイントです。

  • 農場内での訓練や教育を重視する

  • 自分達の農場を今後どうするかという、将来への建設的議論を大切にする

  • 肥育農場を定期的に訪問しコミュニケーションを図る

  • よい農場マネージャーになるよう育成しようする

  • チームワークを重視する

 その反対の「命令法」は、マニュアル至上主義、アメとムチ制度、さらに書類主義では、飼育スタッフが上司を恐れるようになり、よいスタッフやマネージャーは育ちません。養豚産業界に限らず、米国の最大の問題の一つが、従業員の離職率の高さです。給料以外のことでやめる人が多いこと(約60%)から、チームワークの大切さ、仕事の意義の説明、公平な評価が大切です。

  • 人事は動物福祉にも大きく関わってきます。ルーエン獣医師は、例えば、採用する時に、家庭内暴力の記録がある場合、(米国では警察で記録を調べられるそうです)絶対に採用しないと教えてくれました。家庭内暴力をする人は、農場内でも動物虐待をする可能性が高いのだそうです。

繁殖部門の労働時間と割合を考える

 日本の養豚は労働生産性が低いと言われています。歴史が浅く規模が小さいこと、豚舎が増築を繰り返したため動線が悪いこと、自動化設備導入費が高いなど理由があると思います。自農場の労働時間とその割合を見直すのも、労働効率を改善する一助かと思われます。

 繁殖部門の仕事の中身と労働時間は、農場の生産システムによって大きな差があり複雑です。繁殖農場には多様な仕事があります。これだけのことをよく調べたと思います。今回紹介する英国の実例農場は、放牧中心でなく舎飼いで、比較的に日本に近いもので、スノコ使用の豚舎内飼育で自動給餌をしている農場の労働時間を紹介します。

 実例農場は母豚1272頭飼育する繁殖農場です。豚舎内飼育で、種付けと分娩は週ごとの生産スケジュール、妊娠豚は電子制御給餌法(ESFシステム)使用、自動化給餌が主で、分娩舎は全スノコです。ただし妊娠豚舎は平床で敷きワラで、ワラと糞は人手でトラクターに載せています。妊娠舎のボロだしは大変と思われます。比較しやすいように、母豚100頭当りに換算しています。

 1日当り労働時間を分娩豚舎と妊娠豚舎に分けています。合計で130.6分、それにどちらの豚舎にも入れられなかった時間19.6分を合わせて約150.2分です(2.5時間)。約2.5時間で、母豚100頭分の繁殖の仕事をしていることになります。母豚約1,200頭の農場ですから、母豚100頭の農場よりは労働効率はいいです。

 表内の%は150.2分を分母にした割合です。割合%で自農場と比較できます。主な作業は、交配妊娠豚舎では19%の時間が交配で、分娩舎では32%が母豚や子豚の世話です。

 なおどちらにも入れられなかった仕事として、その他:3.1分、母豚の運搬:0.6分、クリープ飼料の持ち込み:1.1分、注文のための飼料タンクチェック:0.3分、農場見回り:0.6分、オフィスでの管理: 13.9分 (9.1%)で合計19.6 (13.2%)です。畑への糞尿散布のための時間は調査できなかったようです。

1日の労働時間割合
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