身体の脂肪やタンパク質の量が繁殖成績に影響するという仮説がありました。ボディコンが大切ということで、今でも農場では母豚のボディコンは重要視されています。しかし、米国ミネソタ大学での研究では、ボディコンという母豚の身体の成分だけでは、繁殖成績の直接の原因と特定することができませんでした。
そこで栄養と繁殖を結ぶメカニズムとして生まれたのが「代謝状態(metabolic state)」というコンセプトです。飼料が体内に取りこまれ、体内で消化・吸収され栄養代謝物となり、体内栄養プールからの代謝物と代謝ホルモンにより一種の代謝状態をつくります。それがダイナミックに視床下部・脳下垂体・卵巣そして子宮に影響を与えるという理論です。授乳豚でいうと、その代謝状態が泌乳量・離乳後発情までの日数と発情時間の長さ・排卵数・受精後生存数・分娩そして繁殖成績にまで影響するという仮説です(図1)。代謝状態を構成する主なものとして、栄養代謝物(グルコース、側鎖型アミノ酸、脂肪酸)、代謝ホルモン(インスリン・IGF)、繁殖ホルモン(黄体形成ホルモン・LH、黄体ホルモン)です。
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