養豚経営情報
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子豚のような好奇心と行動力、そして成長力を目指しています。こぶたの学校長・纐纈雄三
栄養
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養豚の栄養と給餌法の重要コンセプト
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子豚・肉豚期の栄養
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成長カーブ(growth curve)と予算給餌(feed budget)
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離乳子豚期の栄養
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離乳期の飼料摂取低下を最小にする法
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トカチ教授の離乳豚への助言
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若雌種豚の栄養
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妊娠期の栄養
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授乳期の栄養
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飼料の経済的評価
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夏場の豚肥育成績を最大化する栄養戦略を2月から
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飼料添加剤の効果
養豚の栄養と給餌法の重要コンセプト
米国では、飼料コストは総生産コストの60から75%を占めます。経営上の最重要分野の一つです。栄養学の重要コンセプト、栄養と給餌法について米国カンサス州立大学の養豚ガイドを参考に簡単に解説します。経済的に重要な子豚・肉豚期そして離乳期の順番、その後は若雌豚、妊娠豚、授乳豚、離乳後母豚の順番で解説します。
詳しくは以下のサイトを参照してください。
養豚栄養ガイド(カンサス州立大学:KSU)Swine Nutrition Guide (k-state.edu)
https://www.asi.k-state.edu/research-and-extension/swine/swinenutritionguide/
子豚・肉豚期の栄養
まず経済性を考えた生産目標と目的を決める
施設のサイズ、有効スペース、豚の出荷条件を考慮して、農場としての目的と目標を決めることが大切です。そして目的と目標の設定のためには、経済評価ができる肥育成績指標を設定することが大切です。なお子豚・肥育期は米国基準で体重50から55パウンド(23から25キロ)以上としています。
5つの主な経済的な肥育成績指標としては、
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1頭当り総肥育飼料コスト
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1 kg 増体当たりの飼料コスト:飼料要求率×キロ当り飼料価格
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飼料コストを引いた利益(IOFC)
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飼料コストと施設コストを引いた利益(IOFCC)
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総コストを引いた利益(IOTC)があります。
例えば、コストを減らすことを考える時には、総飼料コストと1日増体量当たり飼料コストが使えます。総利益、飼料コスト、施設コストを考慮して収益性を考えるときには、IOFCとIOFCCは正しい指標です。なおIOTCは収益性を考えるにはよい指標ですが、すべてのコスト(例:抗生剤、労賃、移動費)を把握する必要があります。日本の場合はその他の複雑な費用が多数あるので不向きです。1番目の1頭当り総肥育飼料コスト、2番目の1日当り増体当りの飼料コスト、3番目の飼料コストを引いた利益 (IOFC)か4番目の飼料コストと施設を引いた利益(IOFCC)が適していると思います。
例えば、飼料コストを減らすことを考える時には、総飼料コストと1日増体量当たり飼料コストが使えます。飼料コスト、施設コストを考慮して収益性を考えるときには、IOFCとIOFCCは正しい指標です。
飼料給与プログラムの成績を経営的に評価するための指標は、農場の肥育成績や出荷条件が影響します。例えば飼料中の栄養素レベルと飼料原料の構成は、生体成績と、と体の成績に影響します。さらに有効スペースと季節性の肥育成績への影響度で、出荷体重に到達する豚の数と施設利用効率が決まります。
子豚・肉豚期の栄養要求量
この時期の豚は急成長しているので、成長に合わせたエネルギーとアミノ酸を決める必要があります。体重に合わせたエネルギー量を決めます。そのエネルギー量の決め方は、たんぱく質の増加量が最大限になる点です。そしてリジン:カロリー比を決め、リジンとその他のアミノ酸の比率を決めるべきです。以下にカンサス州立大学の実験で使用されている実例を示しました。日本ではまだ正味カロリー (NE)が一般的でないので、代謝エネルギー (ME)を使用しました。
肥育豚のリジン:正味カロリー比率
米国では、代謝エネルギーMEに変わって正味エネルギーNEが使用されています。米国カンサス州立大学の養豚ウエブサイトの人気部門が、「計算ツールCalculator and Tools」です。そこで肉豚用の必要リジン%の計算式があります。リジンはただ添加するのでなく、飼料のカロリーとの比で考えるべきです。そしてカロリーは国内でよく使用されているMEでなく、正味エネルギーNEで考えるべきです。例えば平均体重30キロの去勢豚に、2645 Kcal NE のエネルギーの飼料を与える時は、下の表の比率は4.60 g/Mcalですから、4.60×2.645÷1000×100=1.2%のリジン含むようにします。サイトにはexcel電卓が付いています。下の図を見ますと、体重増加にともなって体重70キロまではカロリー比率は、直線的に減少し、体重100キロからはその減少はゆっくりです。肥育豚も70キロまでは飼料を頻繁に変更するのが栄養学的に必要です。また雌豚と去勢雄豚は同じペンで同じ飼料を給与するのは栄養学的にはよくないようです。なおリジンの増減には他のアミノ酸比率も考慮する必要があります。
参考サイト:www.asi.k-state.edu/research-and-extension/swine/calculators.html
MEとNE (kcal/kg) の違いは、熱産生量Heat Increment(HI)をMEから引いたものがNEです。HIは、飼料を消化・代謝するときに産生されるエネルギーです。HIは測定が難しいので、MEから以下の公式から使用されることが多いようです。EE=エーテル抽出物(g/kg)、St=でんぷん(g/kg)、CP=粗たんぱく(g/kg)、ADF=酸性デタージェント繊維(g/kg, リグニンとセルロース)、CF=粗繊維(g/kg)。ADFが測定できない場合は、CFで代用したのが式2です。
式1、NE=0.726 x ME+(1.33 x EE)+(0.39 x St)-0.62 x CP)-(0.83 x ADF), R2=0.97
式2、NE=0.730 x ME+(1.31 x EE)+(0.37 x St)-0.67 x CP)-(0.97 x CF), R2=0.97
なおNE:MEの比率は0.69-0.77と報告されています(Noblet et al., 1994)。
成長カーブ(growth curve)と予算給餌(フィード・バジェットfeed budget)
成長カーブ(growth curve)と予算給餌(feed budget)
農場ごとに子豚・肉豚の成長カーブ(飼料摂取量とタンパク質蓄積の変化に対応するため)を作成していくことが大切です。日齢別性別に体重を測定しましょう。成長カーブは、まず体重(Y軸)vs 日齢(X軸)を書きます。これは線形になり、日齢が上がると生体重が線形比例的に増えます。
そのあと日増体量g(Y軸)vs 体重(X軸)の成長カーブ(下図右)を描きます。体重の軽い時は、増体量(ADG)は急速に増えるのですが、やがてその増加が鈍化してピークを過ぎます。この1日当り増体量の鈍化とピークの体重は何キロの時なのか知ることが大切です。下図右では60キロを超えると鈍化し、90キロを超えると減少しています。とくに増体量の増加しピークに達したら、維持と成長のために飼料中に必要な栄養素は少なくなります。つまり飼料の変え時期です。
この増体量がピークの時期は農場環境と種豚ラインと季節で大きく違います。そのため生産者は、農場で使っている種豚ラインが自農場の環境で、どの時点(体重と日齢)で最大の日増体量があるのかを知ることが大切です。また季節によって、とくに夏と秋では成長カーブが大きく違うので、季節ごとの成長カーブが必要です。その農場独自の子豚・肉豚の予算給餌(フィードバジェット feed budget)を決めます。以下左表にカンサス州立大学の実例を示します。なお飼料摂取量(エネルギー摂取量)は去勢豚は雌豚より多く、一方タンパク質合成率は雌豚が去勢豚より高いのです。
子豚と肉豚期のビタミンとミネラル
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リンは骨化のほか、タンパク質合成やエネルギー代謝に関連し、欠乏すると骨形成と成長が抑制されます。そして高価な飼料原料ですので、リンの過剰投与は飼料コストをあげます。
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フィターゼは、リンの有効率を上げるため、米国農場の子豚・肉豚期の飼料にはよく使用されています。
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米国では総リンは配合設計には利用されず、STTDリン(標準化腸管可消化リン)が使用されています。
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飼料中カロリーによって飼料摂取量が違うので、飼料摂取量を補正するために、可消化リン:カロリー比率が使用されるべきです。米国飼養標準(NRC)例:STTD-P:MEカロリー(g/Mcal)では、体重が増えると1.3から0.6へ減ります。
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飼料効率やタンパク質生成率が改善されると、リン要求量が増えます。
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フィターゼを使用する場合は、それによって有効になるリンを配合設計に使用すべきです。
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カルシウム:リン比率を使用すべきです(米国栄養標準NRC例、総Ca: STTD-P比率で体重が増えると1.9から2.2へ増えます)。なお過剰カルシウムの給与はリンの吸収を阻害します。
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ナトリウムと塩素は、栄養素の吸収と電解質バランス、pHのコントロールに重要です。なお米国では飼料用塩は非常に安価なので、0.35-0.5%の塩を添加すれば十分とされています。
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銅、ヨウ素、鉄、マンガン、セレニウム、亜鉛は米国農場の子豚・肉豚期の飼料には普通に使用されています。
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銅(250 ppmまで)は成長促進因子として添加できます。若い豚により効果的です。なお世界的には環境問題から減少傾向にあります。
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飼料原料にもビタミンは含まれてはいますが、有効率が低い、飼料摂取量が低い場合を考慮して、NRCでは必要量がプレミックスで飼料に添加されるようになっています。さらにプレミックスではビタミンが暑さや保存時に壊れることを想定して多めに配合されています。
子豚・肉豚期の健康に問題ある時(例、病気発生時)での飼料
病気の時には、免疫系が活性化され飼料摂取量とタンパク質合成の量が低下することが知られています。つまりこの時期には身体のタンパク質を増やすことは難しいのです。それで、米国では一般的には、疾病時に配合設計を変化させることは推薦されていません。
一方、大豆かす中に含まれるイソフラボン(isoflavones)の働きに注目して、飼料中の大豆ミールの量を増やす研究がされています。イソフラボンは、抗ウイルス、抗酸化、抗炎症作用の可能性が報告されたからです。しかしまだ結果は一貫性がなく、さらなる研究が必要です。
夏場における油脂添加
飼料摂取量を低くなるよう育種改良されている種豚ラインが米国にはあります。そういう種豚ラインでは、夏場に飼料摂取量が著しく下がり、増体量も大きく下がってしまいます。そんな時、飼料への油脂添加が奨められます。油脂添加することで、飼料中エネルギーの密度が上がること、油脂は穀物よりも、消化・代謝による熱増加が少ないので、夏季には有利です。しかし、油脂添加によって上がる飼料コストとの見合いから、利益が下がってしまう場合があります。夏場での油脂添加は、経済性評価してから添加すべきです。
離乳子豚期の栄養
重要コンセプトは5つ
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質の高い離乳豚を生産、最低でも21日齢以上
離乳日齢を最低21日とすべきです。米国では平均離乳日齢は19から23日齢です。離乳日齢は、離乳体重と離乳後の肥育成績に大きく影響します。最低21日齢以上であれば、離乳ストレスからくる低い飼料摂取量、腸管バリア機能と病気への高い感受性を低減できます。訳者注:米国は早期離乳法の時代を終え、つまり早期離乳で抑制できた病気(例:萎縮性鼻炎)をほぼ克服し授乳期間を延長しています。
2. 離乳後の飼料摂取量を最大に
半分以上の離乳豚は離乳後の24時間以内に飼料を摂取しだします。約30%は離乳してから24から60時間に飼料を摂取しだします。離乳時期は高くエネルギーに依存している時期です。飼料摂取量が増えれば肥育成績が上がりタンパク質の蓄積も増えます。また飼料摂取量は、栄養素吸収のための腸管構造を適切に維持し、この時期の下痢の発生も減少させます。
できる限り早く、不断給餌 (ad lib feeding)できるようにすることです。そのために実例が2つあります。1つは板やマットを使い飼料を食べる場所を大きくすること、もう一つは水と飼料を混ぜて液状で与えることです。また2つの方法で給餌されていても、フィダーでの飼料給与ができるようにすべきです。上記2つの方法は、短期間で終わり飼料フィダーでの飼料摂取へ誘導する必要があります。なお板やマットの使用は、飼料の無駄や疾病の発生の問題があります。
離乳後の飼料摂取行動は、餌付け用クリープ飼料の使用で引きだせます。しかし離乳前に長く餌付け用クリープ飼料を給与する必要はありません。クリープ飼料を食べる豚の割合を増やし、離乳後の飼料摂取量を増やすために、離乳前3日間にクリープ飼料を給与するのはいい方法です。また離乳直後の飼料に、クリープ飼料と同じような原料を入れておくのも、離乳後の飼料摂取量を増やすのによいでしょう。
3. 管理
離乳子豚に最適な室温、換気、病気の子豚の早い発見と治療、飼料フィダーの開口部調整と飲水器の調整が大切です。フィダーの調整は飼料摂取量を増やし、飼料効率を上げるために大切です。一般的な推薦は、豚が飼料摂取できるフィーダー盤の部分の約50%に飼料がある程度です。フィダーから出てくる飼料の量は、離乳直後では子豚の飼料摂取行動を刺激するために少し多めにすべきで、その後、飼料の廃棄を少なくするために、徐々に少なくするべきです。飼料の廃棄の量は、フィダーのデザインでずいぶん違います。よいデザインのフィダーだと、フィダーの口の開け幅を大きくして、豚が飼料摂取できるフィダー盤部分の50-70%に飼料がある状態にしても、飼料効率はよくできます。
飲水器の調整では、離乳子豚は新鮮でクリーンな水にいつもアクセスできることが大切です。飲水器の高さは、子豚が大きくなるにつれ、少し高い位置にあることが、一般的に推薦されています。飲水カップやニップルだと、離乳子豚の肩の高さで角度90度にセットし、角度45度のニップルだと、肩の高さから3センチから5センチ上方にセットするべきとされています。
4. 子豚の生物学的特徴を忘れない
離乳子豚は、高いタンパク質の蓄積能力が高く、飼料摂取量が低い、そして消化酵素活性が肥育豚と違います。例えば、乳糖消化酵素ラクターゼの活性は高いが、穀物などを消化するアミラーゼやマルターゼやスクローゼや脂肪消化するリパーゼの活性は低いのです。つまり、離乳直後の子豚は、乳糖はよく消化できるが、植物性タンパク質、糖類さらに脂肪の消化力は弱いのです。一般的には、消化性のよい原料からのアミノ酸レベルを適切にすべきです。しかし、エネルギーレベルを上げるための油脂添加は、飼料摂取量を減らすので効果的ではありません。
5. できる限り早い段階に単純かつ安価な飼料へ変える
離乳時期の栄養面での目的の一つは、離乳子豚を子豚・肉豚用飼料への準備期間とすることです。子豚・肉豚用飼料は、離乳期に比して単純な配合で安価です。高価な飼料原料を使うと、離乳期の肥育成績はよくなりますが、子豚・肉豚期にはそれ以上の成績は望めません。特別な高価な飼料原料の使用は、コスト高になるので子豚・肉豚期では薦められません。高価な飼料原料を使う飼料から、より安価原料(例:穀物と大豆ミール)にできる限り早く切り替えてゆくべきでしょう。
離乳期でのフェーズ・フィーディング(成長時期を3つか4つにわけ、その時期で飼料を変える)
この給与法の目的は、離乳子豚の消化能力と必要栄養素をマッチさせ、経済的にリーズナブルな飼料コストで適正な成長を実現することです。
予算給餌(フィードバジェットfeed budget)
このフェーズ・フィーディングは、豚の体重とマッチした予算給餌法が使われています。離乳期は3フェーズで、フェーズ1用飼料は体重5.4キロから6.8キロ、フェーズ2用飼料は体重11.3キロまで、フェーズ3用飼料は体重22.7キロまでです。さらに体重の軽い3.6キロから5.4キロの子豚や、健康問題のある子豚には、離乳期用の特別飼料(餌付け用、クリープ飼料)を用意します。
離乳期用の特別飼料とフェーズ1飼料は、特別なタンパク質とラクトース(二単糖)を含み、飼料摂取量をあげるようになっています。飼料として滑りをよくするために、ペレットやクランブルとして使用されます。
飼料を摂取行動が確立後のフェーズ2と3用飼料では、高価原料を急速に少なくしていきます。表1に示したフィードバジェットのガイドラインは、高価な離乳期飼料の過剰給餌を避け、肥育成績を最適化しようとするものです。
高価な飼料原料を使用した飼料への注意点
離乳期での高価な飼料原料は、早期離乳子豚への高品質のタンパク質の給与と飼料摂取量をあげるためのものです。しかし離乳時期の増体成績は、子豚肉豚期の肥育成績の改善や経済性とは必ずしも一致しないのです。そのためこの時期では、離乳豚に母乳から飼料への基礎的な大きな変化を起こせることが大切です。一方、離乳日齢の増加は離乳豚に基礎的な大きな変化を起こせるので、離乳日齢の増加は子豚・肉豚期でのよい肥育成績に結び付きます。米国の離乳日齢平均は20日以内であることから、カンサス州立大学では離乳時期21日以上を勧めています。
高価な飼料原料を使った飼料を給餌しているときの高い肥育成績が、子豚・肉豚期に維持できない場合があります。高価原料を使った飼料は、離乳期では飼料摂取量・増体量が上がるのですが、その高い成長成績が、肥育期では消えてしまうのです。アミノ酸の高濃度、抗生物質や牛乳が入っている場合はとくにそうです。これらのことから、離乳期での高価な飼料原料の使用は、子豚・肉豚期でのよい肥育成績を期待して使うべきでないでしょう。以下に高価な飼料原料を使用した特別飼料とフェーズ1飼料の予算給餌例を示します。
離乳期用の特別飼料(餌付け用、クリープ飼料)
体重の3.6キロから5.4キロの子豚や早期離乳豚、健康問題のある子豚に使用。米国の一般的な農場で離乳豚の10-12%いると思われます。この時期の飼料は高品質のたんぱく原料を使用し飼料摂取量を刺激し、離乳豚の消化能力に合わせたものが必要です。原料例としては、発酵大豆ミール、酵素処理大豆ミール、大豆たんぱく質濃縮、血しょうたんぱく質(豚以外の由来)、魚粉です(下表参照)。
フェーズ1飼料
体重5.4キロから6.8キロまで。この時期の豚は、乳糖ラクトースはよく消化できるが、植物タンパク質や脂肪の消化はうまくできません。またこの時期の豚は、大豆ミールに対しての過敏症(大豆からのアレルギー源になるタンパク質と非消化性炭水化物による)があります。初めて大豆ミールを含む飼料を食べることによる、消化不良と発育不良が起こります。この反応は短期間で、7日から10日で豚は慣れます。この問題への、米国での最良のアプローチは、大豆ミールを早めに与えて、この過敏症に慣らせることです。早期に大豆ミールを子豚に与えることで、遅延型の過敏症を減らし、続く離乳期飼料に大豆ミールを多く配合できるようになります。
フェーズ1飼料では、米国では16-18%の大豆ミールが使用され、高品質のたんぱく原料(発酵大豆ミール、酵素処理大豆ミール、大豆たんぱく質濃縮、血しょうたんぱく質、魚粉)が使用されています。なおその割合はアミノ酸プロファイルで決められます。単一の原料だと嗜好性や増体成績に問題がでます。
離乳豚には消化のよい脂肪(不飽和の短鎖型脂肪酸)はよいと報告されています。植物油である大豆油やココナッツ油は離乳豚にはいいようですが、現在のところコストが高すぎます。動物脂肪の方がコスト効率 (費用対効果)がよいでしょう。3-4%の脂肪添加はラクトースを多く含むフェーズ1飼料のペレット化の改善に主に使用されています。
フェーズ2飼料
体重6.8キロから11.3キロまで。この時期の豚では飼料消費行動ができています。穀物と大豆ミールが主になり、高品質たんぱく原料(発酵大豆ミール、酵素処理大豆ミール、大豆たんぱく質濃縮、血しょうたんぱく質、魚粉)は減らします。大豆ミールの配合割合は20-24%です。乳糖ラクトースは約7%まで減らします。ラクトースの飼料原料は結晶ラクトース、ホエイ・パーミエート、乾燥ホエイで、これで消化性の高いアミノ酸の供給もできます。この時期の豚では、肥育成績を改善するための脂肪がそろそろ利用できます。1-3%の脂肪が添加できます。脂肪は、良質の白色グリースと牛タローが使用できます。
フェーズ3飼料
体重11.3キロから22.7キロまで。飼料消費量は離乳期で最大になり、飼料コストが重要です。離乳期の50%以上の飼料消費がこの時期です。この時期は穀物と大豆ミールになり、高品質のたんぱく原料やラクトース原料は使用しません。非育成期を改善するために1-3%の脂肪を添加できます。
離乳の飼料摂取低下を最小限にする方法
米国KSUのDr. M TokachがKS swine day 2020で発表しています。
離乳前に大切なことは3つ
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離乳時期を上げる、離乳年齢を上げるほど、子豚の体は成熟し離乳の悪い影響やストレスが少なくなります。注)離乳日齢を1日上げると年間母豚回転数が0.02低下します。1腹離乳頭数が10頭とすれば、年間離乳頭数が0.2頭減少します。繁殖ページも参考に。
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社会性を持たす、離乳前に、同時期離乳予定の他の母豚の子豚とミックスすることで、社会性のスキルをあげ、かつ遊ぶ行動を引き出せます。
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クリープ飼料を、離乳前にクリープ飼料を与えることで、固形飼料に慣れ、探査行動を引き出します。
また離乳後の管理として、
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マットで飼料を与える(マット給餌)法だとと、離乳後11日間で成長不良豚による取り除きが8.0%から4.6%に減少したと報告しています。
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離乳豚の体重別区分け不要としています。直径の小さいペレットは高価ですが、
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ペレット飼料を離乳前後に与える場合は、直径2ミリでな直径12ミリのほうが、離乳後10日間で、飼料摂取量は13%よく、増体は20%よかったと報告しています。
その他の管理例として、軽体重の子豚のための別飼育、豚舎の温度が大切としています。
それ以上に、ケアする人が大切、子豚の行動を読み
若雌種豚の栄養プログラム
若雌豚の栄養プログラムは、種豚の繁殖成績と生涯成績に強く影響するので、生産システムにとって重要です。性成熟を早くするための雄豚との接触プログラムや初発情発見が重要であるとともに、若雌豚の栄養プログラムは重要です。
時期別の栄養プログラム
まず各時期の栄養素とエネルギー要求量を満たすことが大切です。プログラムは哺乳・離乳時期から始まり、初産の離乳時まで考慮すべきです。また母豚群に導入されるまで栄養素の不足と太りすぎ (over conditioning) 防止に注意すべきです。
若雌豚の適正な成長速度(1日当り増体量で表される)であった豚は、生涯成績もよいことが証明されています。離乳前には、分娩直後の初乳摂取の不足は、成長速度を遅くし、哺乳期間中の成長速度の遅れになり、性成熟の遅れと、繁殖システムに悪影響を及ぼすと報告されています。
さらに、将来の母豚群に編入される若雌初生豚は、その分娩腹を少なくすること (子豚数を少なく)、母乳吸入の競争を少なくすることで、哺乳中の成長速度を早くし、性成熟を早くし生涯成績を多くすることにメリットがあります。離乳豚の時期での発育の遅れは、交配成績と繁殖成績に悪影響を及ぼすので、肉豚になる豚と同様な栄養要求量を与えるべきです。
子豚時期は、中くらいのアミノ酸とエネルギー含量の飼料を飽食させるとよいでしょう(注:米国は伝統的にこの時期は飽食としています、が今回は少しトーンを下げたようです)。なぜならこの時期の普通より高いリジン:エネルギー比率が、性成熟の時期や排卵数に影響するという科学的証拠がないからです。一方、厳しい制限給餌を受けた若雌豚は性成熟が遅れます。そして骨のミネラル含量を最大限にするために、体重23キロから135キロまでの若雌豚には、肥育用よりはカルシウムとリン含量が多い飼料を与えるべきです。ただし、多くのミネラルを与えても四肢の強健さや成長速度には影響しませんが、骨の強度をあげることができます。
もし若雌豚が肉豚でいう出荷体重のずっと前に、育成舎から繁殖群に導入されるなら、若雌豚用の専用飼料を給餌されるべきです。もし、若雌更新豚として初交配の直前や肉豚出荷体重ぐらいで、繁殖豚群に移動されるなら、妊娠豚用の飼料を給餌されるべきです。胎子の発達に大切なビタミンであるコリン、ビオチン、ピリドキシン、葉酸を飼料中に増やす必要があるからです。
若雌更新豚が交配前に妊娠豚舎に移動させられる時は、制限給餌されています。そして交配予定の2週間前から、1日当たり0.9キロ(2パウンド)の増し飼い(フラッシング:flushing)が排卵数を増やすためにすすめられます。
初交配後は、ボディコンを考慮して普通の妊娠豚の給餌レベルに下げるべきです。妊娠期の急速な体重増加と太りすぎでを避けるためです。太りすぎの妊娠若雌豚は、分娩後の授乳期間での飼料摂取量が十分にならず、離乳後の繁殖成績が落ちます。
初交配直前の体重が大切
繁殖成績と長期生存性を最適にするための、初交配時(240日齢前後)の若雌更新豚の目標体重は136~154キロ(300~340パウンド)です。この体重であれば、初産の授乳期に身体のタンパク質が過剰に失われることがありません。初産豚は授乳期に飼料摂取量が低く、母乳生産のために多くの体タンパク質を使い、繁殖成績が低下します。さらにこの目標体重より軽くても、重くても生涯の分娩時総子豚数が減少します。なおこの時期における脂肪蓄積の多さが、繁殖成績の改善に役立つという科学的証拠はありません。つまり若雌更新豚にはタンパク質を蓄えさせておくことが、脂肪蓄積より重要です。日齢より体重が大切です。もう一つ、ミネラルやビタミンの欠乏や過剰摂取も避けるべきです。
妊娠期の栄養
エネルギー要求量を知る
妊娠期母豚のエネルギー要求量は、維持・母体の成長(タンパク質と脂肪の蓄積)・受胎物(胎子、子宮、胎盤と羊水)・乳腺を含んでいます。母体の維持、受胎物の成長、乳腺の発達が優先されます。そして過剰なエネルギーが与えられと、母体の体重が増えます。
維持エネルギー(kcal/日)は100×体重0.75です。0.75は0.75乗です。Excelだと「=power (体重, 0.75)」で得られます。体重0.75は代謝体重といわれ、体重200キロの場合は53キロ、100キロの場合は32キロです。そして温度にも影響され、一般的に舎内温度20°Cから、10°C減少すると1日0.13キロ給餌量を増やす必要があります。
飼料給与量を決める
妊娠豚は体重(維持と受胎物の必要エネルギー量)を基に飼料給与量を決めるべきです。過剰な飼料給与は、体重と脂肪の増加となります。若雌種豚は維持ためのエネルギーは低いのですが、成長のためのエネルギーが多く必要です。一方、高産次の母豚は体重が増えるのに連れて維持に必要なエネルギー量は増えるのですが、成長のためのエネルギーはそれほど必要ではありません。平均的には、1キロ成長のためのエネルギーは10.6 Mcalで、20キロ増体だと212 Mcalで、100日とすると1日に2.12Mcalで、3.3Mcalの飼料だと0.6キロです。それに受胎物・乳腺の増加が加わります。一方で維持は1日0.106 Mcal/代謝体重kgで、体重200キロの母豚だと、1日1.7キロです(NRC, 1998)。
実践的には、産次ごとに妊娠豚はやせすぎ、理想、太りすぎの3つに分けて、飼料給与量を決めるべきでしょう。もう一つ、ストールで自動給餌器を使っている場合は、頻繁な目盛り調整が奨められます。
妊娠期後半のエネルギー要求量
妊娠約70日から、エネルギーは、急速に成長する受胎物によく使用されるようになります。妊娠約80日から乳腺の発達も急速に増えます。そのため妊娠後期では、新生豚の体重を増やすために飼料給与量を増加することが実践的にされています。しかし研究では、妊娠後期での飼料給与の増量は、体重が増え、背脂肪が厚くなり、死産子豚数が増える一方、新生豚の体重は少ししか増えない上に、授乳期の飼料摂取量が減少したと報告されています。分娩前については下に述べています。
食物繊維
妊娠期の豚は制限給餌されているため、食物繊維を給与することは、豚に満腹感を与え、攻撃行動が減少させられると期待されています。しかし妊娠期での食物繊維の給餌のその後の繁殖成績へのよい影響はまだはっきりしていないものの、悪くなるということは報告されていません。なおペレットにすると、食物繊維の良さは打ち消される一方で、消化率は上がります。繁殖成績への悪い影響がなく、飼料コストを下げれるということで、妊娠期飼料への食物繊維の多い飼料原料の使用の経済的にもよいと言われています。ただし糞の量は増えます。
アミノ酸(コーン大豆かすベースの飼料の第一次制限アミノ酸はリジンです)
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妊娠初期は、後期に比べて母体での体重増加にタンパク質が使われます。妊娠初期は、時期依存性のタンパク質増加期です。授乳期で失われた母体のタンパク質を回復するのにいい時期です。
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時期依存性のほかに、摂取エネルギー依存性の母体タンパク質増加というのがあります。エネルギー量摂取増加に伴うタンパク質の増加反応は、妊娠若雌豚で最も多く、産次4以上に向かって減少します。産次4以上では0です。
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妊娠期60日以降から分娩まで胎子と乳腺発達へのアミノ酸の要求量は増加します。
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胎子と乳腺の発達のため、妊娠初期から後期にかけてリジンの要求量は増加します。
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リジンは成長している若雌種豚で多く必要で、高産次になると要求量は減少します。
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妊娠前期から後期にかけて、リジン要求量が増えます。それで後期飼料でのリジン添加は、繁殖成績と子豚の分娩体重にもいい影響がある可能性があります。そのため妊娠豚は1日当たり11 gから13 gのSIDリジン(標準化回腸可消化リジン)を与えるべきです。リジンの量が決まったら、それに応じて他のアミノ酸のバランスを整える必要があります。
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アミノ酸の要求量は妊娠が進むにつれて増えるので、フェーズ・フィーディングや産次ごとの給与が提案されています。しかし複数の飼料を1つの妊娠豚舎で使用することが困難ということで、現時点では1種類の飼料が使用されています。
ビタミンとミネラル
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リンとカルシウムの要求量は妊娠後期に向けて、胎子の発達のため妊娠後期に向けて増えます。
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産次0から2までの若い母豚には、成熟体重に達していないので、高産次の母豚よりリンとカルシウムが必要です。
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なお低いカルシウムと低リンの給餌は、四肢障害が増えますが、過剰に給餌したからといって、母豚の繁殖や骨格が丈夫になるわけではありません。
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妊娠豚は1日当たり11.3 gのリン と14.3 gのカルシウム(両方とも標準化腸管可消化)が推薦されます。また消化率を上げるためフィターゼの使用も奨められます。フィターゼを使用したときは、リンとカルシウムの添加量は減少します。
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銅、亜鉛、鉄、ヨウ素、マンガン、クロムとセレニウムは、妊娠期と授乳期飼料には添加すべきです。ただし多く添加したから、よい効果が表れるかどうかは、まだよくわかっていません。
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有機ミネラルの無機ミネラルに比べての有効性はまだ結論がでていません。
分娩直前後移行期の栄養
分娩前で分娩舎での短い時間ですが、この時期の飼料給与は、授乳期の飼料摂取量、初乳の量、母豚の体重減少量そして子豚の成績に影響する可能性があります。米国では妊娠期112-114日ごろ(もっと早くと推薦)に妊娠舎から分娩舎に移動されます。
この分娩までの短い期間ですが、維持のためのエネルギー量、胎子の成長、初乳の生産などで、エネルギーの要求量は妊娠後期から分娩まで60%ほど増えます。さらにSIDリジン(標準化回腸可消化リジン)は分娩直前には35グラム/日に増えます。それで分娩舎に移動した時から、不断給餌(ad lib feeding)にすることで、授乳期飼料摂取量の増量と授乳期全体での体脂肪の使用が減ると報告されています。さらに最近の研究では、分娩前の最後の飼料給餌が近いほど、分娩時間、介助分娩の割合、死産子豚率は減ると報告されています。
欧州では、この時期と授乳初期のための移行期飼料が考慮されています。しかし、まだコンセプトの段階で研究結果からは結論はでていません。しかしこの時期に授乳期の飼料を給餌することで、初乳の質と量が改善することはわかっています。そのため、この妊娠期112日から授乳期飼料を不断給餌することが、増大する要求量のために推薦されています。繁殖セクションの実践繁殖も参考に。
分娩直前での授乳期飼料の不断給餌を始める前に、農場で何日間不断給餌するのか確認しておく必要があります。分娩前5日以上の自由給餌は過肥になる可能性があります。
分娩直前期の飼料給餌法
米国KSUのDr. Jason WoodworthがKS swine day 2020で発表しています。
分娩前後移行期の飼料給餌法は、非常に注目を浴びています。分娩直前期の飼料の給餌法について今わかっていることについて報告します。
分娩前の給餌回数は大切です。伝統的な1日1回2.7キロ給餌ではなく、1日4回6時間毎(ロボット給餌)で1回0.68キロ給餌をすすめます。飽食はすすめません。難産での分娩介助割合が、飽食より1日4回は43%少なかったのです。また分娩後の成長不良豚は1日1回2.7キロより、1日4回6時間毎で1回0.68キロが25%少なかったのです。
授乳期の栄養
泌乳には授乳期での必要な栄養素とエネルギー最も大きい割合が使われます。それで授乳期の飼料摂取量を最大にすることと適切なアミノ酸量の給与は、母豚の身体の損耗を防ぎ、子豚のための泌乳を保持できます。
エネルギー
最近の選抜育種は急速に分娩子豚数と泌乳量を増やしています。そのため授乳期のエネルギー要求量が上がっています。さらに現代的な多産系の母豚は、体脂肪の少ないやせ型という特徴を持っています。母豚の身体に貯蔵されている体脂肪は、飼料摂取で十分でなかったエネルギー要求量をカバーするという働きがあります。つまり飼料摂取量が、母豚のエネルギー要求量より低い時、母豚は泌乳のためのエネルギーを自分の体脂肪と筋肉を代謝して補います。意図的または意図せず、飼料摂取量を制限すると、母豚の体組織が代謝されて、母豚の過剰な体重減少、泌乳量が減少、子豚の増体低下が起こります。多くの米国の農場では、授乳期の母豚の不断給餌(ad lib feeding)を可能にする設備が設置されています。
エネルギー要求量
授乳期ではエネルギー要求量の65%から80%が母乳の生産に向けられます。さらに初めの授乳期1週間で、母乳量は3倍になります。またエネルギー要求量は哺乳子豚数とその成長速度にも大きく影響を受けます。授乳期が進めば、母豚の飼料摂取量は大きくなるのですが、母豚の泌乳量と維持のためのエネルギー要求量には及ばないため、この負のエネルギーバランスは、母豚の過剰な体重減少を引き起こし、離乳後の繁殖成績を低下させます。
また高産次母豚に比較して、産次1母豚の日当り平均授乳期飼料摂取量は15%低いのです。そのため産次1母豚の飼料摂取量をあげることは、この時期で最重要です。
エネルギーレベルとその原料
飼料中のエネルギーの濃度は、授乳期に総飼料摂取量に影響します。飼料中のエネルギーの濃度をあげると、同じ飼料摂取量でも、エネルギー摂取量を増やし、体重の過度な減少を減らし、子豚の増体量を増やします。しかし、エネルギー濃度をあげても、ある時点で飼料摂取量が減少する負の影響がでます。
飼料中のエネルギーの濃度を上げるためには、油脂 (fatsとoils)添加はよくされています。飼料への油脂添加は、エネルギー摂取量の増加、乳脂肪の増加、子豚の増体量を増やします。
しかし油脂の原料の品質に注意を払うべきです。遊離脂肪酸と過酸化物の多いものは、消化率が良くなくすぐ酸化してしまいます。もし品質のよい油脂が利用できるのであれば、2%から4%添加することで、飼料摂取量をさげることなく、キロ当たり2,500から2,600正味カロリー(パウンド当り1,120から1,200正味カロリー)を供給できます。また繊維質の多い飼料原料を少し使用するのは、飼料コストを下げるのに使用されています。
必須脂肪酸
哺乳類では必須脂肪酸であるリノール酸とα―リノレン酸が体内で合成できないので、飼料として与える必要があります。必須脂肪酸は、重要な多価不飽和脂肪酸(PUFAs):エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)やアラキドン酸(ARA)の前駆物質なります。
リノール酸とα―リノレン酸は穀物や植物油(大豆やコーン油)に含まれています。一方、EPAとDHAは魚油に含まれています。
必須脂肪酸を授乳期母豚飼料に添加すると、哺乳子豚の成績や母豚の離乳後繁殖成績があがり、子豚への免疫反応を刺激する働きもあります。それで飼料中の必須脂肪酸の量は、母乳中の必須脂肪酸の量に影響するので重要です。
授乳期と離乳後の繁殖成績を改善するための飼料原料からの最小の必須脂肪酸量は研究は少ないのですが、授乳期にはリノール酸125g/日とα―リノレン酸10 g/日が推奨されています。しかし高い必須脂肪酸の原料(アマニ油、コーン油、大豆油、ニシン油)を使うにはコストが上がることに注意しなければなりません。
アミノ酸
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授乳期のアミノ酸要求量の70%は、母乳のタンパク質のためです。そのため要求量には哺乳子豚の数と離乳体重が影響します。しかし母豚のリジン摂取量の繁殖成績への影響はまだはっきりしていません。
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リジンは授乳期の第一制限アミノ酸です。そして1腹当たり1キロの増体のためのSIDリジンの要求量は1日当たり27 gです。2000年以前では24 gでした。さら授乳中子豚の増体量を最適化するには1日当り60 gとされました。なお他のアミノ酸のリジンとの比率も大切です。サブセクションの配合設計例のアミノ酸比率も参照してください。
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米国では飼料用アミノ酸の利用が増大するなかで、飼料用アミノ酸を使用すること、要求量を満たしつつ、大豆ミールの配合割合を減らして、飼料コストを下げることができるようになってきています。また30%以上の大豆ミール配合は飼料摂取量を下げます。しかし、飼料用アミノ酸だけではだめで、粗たんぱくや可消化タンパク質の最低量はそれぞれ16%と14%であると研究で報告されています。
ビタミンとミネラル
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カルシウムとリンの要求量のほとんどは、母乳の泌乳量と母乳中の含有量で決められます。そのため哺乳子豚数が多い場合や哺乳中子豚増体量が多い場合は、要求量は増えます。
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成長中の初産豚や2産母豚など若い母豚でも、体中の総量が少ないためカルシウムとリンの要求量が増えると指摘されています。
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妊娠豚と同様に、ミクロミネラルとビタミン量を授乳期用飼料に添加すべきです。
離乳後から種付けまで
離乳後の大部分の母豚は、体重を減らしています。この時に妊娠用飼料または授乳期飼料の給餌を増加しても、繁殖成績に大きな差はないと報告されています。それで、この時期は妊娠期2.7キロから3.6キロ、母豚のやせ具合で給餌することが推奨されています。
飼料の経済的評価法
養豚において、米国では飼料費は総生産コストの75%までを占めるので、飼料と飼料給与プログラムは農場利益に最も大きな影響があるとされています。日本では飼料コストは総生産コストの約50%といわれていますが、それでも農場の利益にとって最重要であることに変わりありません。とくに利益に直結する肥育豚の飼料の経済性評価は重要です。日本養豚経営研究会の調査でも、飼料費は、農場の総生産コストそして収益性に最重要なもののひとつであることがわかっています。しかし日本では飼料の経済性評価やシミュレーションまではあまり実施されていません。
さらに肥育成績には季節性があり、そして農場には肥育スペースの問題があります。夏場には肥育の遅れから、肥育豚舎は生産のボトルネックになりがちです。飼料要求率、1日当り増体、飼育日数そして施設コストまで加味した経済性評価が必要です。
国は変わっても、自農場での飼料給与プログラムの経済性評価は経営的には必須です。とくに日本の場合は、夏と秋に肥育成績が著しく変化する農場が多いので、季節ごとの評価も大切です。ここでは農場での飼料の簡便な経済性評価法について提案します。この方法で場面を変えてシミュレーションもできます。今回は米国カンサス州立大学の実例にならって、今回は体重25キロから120キロ出荷、または113日飼育する場合の肥育豚1頭当りの利益を実例として取り上げました。肉用鶏でみられるように、飼育密度を勘案した飼育面積1平米当りの肥育成績と飼料費の経済性評価も重要と思うのですが、今回は肥育豚1頭当りの経済性評価のみです。
飼料費と飼料給与法の経済性評価のための5つの指標
飼料の経済的価値を決めるのは、それぞれの農場によって違います。それぞれの農場で、出荷先との条件や契約、施設やそのスペースの制約があるからです。今回は以下の肥育成績(体重25キロから120キロ出荷、および113日の飼育日数)の5つの経済性評価法を取り上げます。米国カンサス州立大学の実例では、1頭当たり売上やコストが実例として示されています。
米国でよく言われる「測定しなければコントロールできないno measure no control」のです。生産コストとしての飼料費を下げようとするなら、まず測定すべきです。そして得られたデータから経済性の評価、そして場面ごとのシミュレーションをすべきです。
表の1つ目の「増体1 kg当たりの飼料費」は、飼料要求率の変化を加味した飼料の評価です。飼料や給与法を変化させる時などに評価として使えます。米国ではよく使用されています。キロ当り飼料費に飼料要求率をかければいいのですから単純です。キロ当り飼料費が下がっても、飼料要求率が上がってしまう場合もあります。その意味でも飼料要求率には、常に注意すべきです。予想できる飼料要求率を使うことでシミュレーションして経済性評価の比較もできます。
表の上から2つ目の指標である「1頭当りの飼料費」は単純でかつ強力で、農場経営者なら知っておくべきことです。「増体1 kg当たりの飼料費」に出荷体重と初期体重の差をかけたものです。すこし入れる数字が増えるので、精度が増すかもしれません。
「売上から飼料費を引いた利益」と「売上から飼料費と施設コストを引いた利益」は、それぞれ、総売上、飼料費と施設コストを考慮した1頭当りの利益です。売上や飼料費使い、シミュレーションして経済性評価するのに適しています。表の一番下の「売上から総コストを引いた利益」は、収益度の把握としては正確でよい指標ですが、すべてのコストを把握する必要があり、簡便ではありませんので、表の上から4つの評価法を奨めます。これらの評価のやり方を表計算ソフトに入れておくことで、季節変化や成績変化、飼料単価の変化などで比較できる、簡単な経済性評価が行えます。
実例として油脂添加なし飼料と油脂3%添加飼料の比較を示しました。なぜ油脂添加を例にしたかというと、飼料への油脂添加はよく研究されていて、その肥育成績である1日当り増体量や飼料要求率改善への効果がよく知られているからです。そして米国の栄養学では、エネルギーを上げることが最も高価と言われています。油脂添加はまさにエネルギーを上げて、飼料要求率を下げ、1日当り増体を上げる方法です。例えば、一般的に約5%の油脂添加をすれば、飼料要求率が10%改善し増体が5%あがると言われています。ただし農場によって違います。今回では3%として計算してみました。油脂添加のほかに飼料添加剤の添加などでも可能です。ただ他の飼料添加剤では飼料要求率や増体への改善効果がはっきりしていないとして、油脂添加を実例にしました。
同じ出荷体重 (120 kg) で2つの飼料の評価比較する場合
油脂添加の有無での飼料費は、それぞれ54円/kgと50円/kgとしました。これは簡便にするためにカンサス州立大学の設定の約2倍プラス10円としました。生体キロ当たり売上:300円/kg、計算するに便利なので選びました。この相場価格は米国の2倍と設定しました。国内相場でと体に換算すると300円÷湯はぎ歩留まり77.5%=387円/kgとなります。
肥育豚の1日1頭当たり施設コストを30円としました。米国では1頭1日あたり、0.10から0.12ドルと言われています。日本の豚舎建築費は高価なので、3倍の30円/頭/日と設定しました。肥育成績はカンサス州立大学の設定をそのまま使用し、油脂添加の有・無で、飼料要求率はそれぞれ2.6と2.8と設定し、1日当たり増体量はそれぞれ0.840 kgと0.817 kgとしました。なお米国式の重さパウンドからキロへの転換率は1キロ=0.454パウンドを用いました。計算しやすく1ドルは100円としました。
「1頭当りの飼料費」は、油脂添加の有無でそれぞれ13,300円と13,338円となります。「売上から飼料費を引いた利益」は、油脂添加の有・無でそれぞれ1頭当り22,700円と22,662円となり、油脂添加なしのほうの利益が多くなりました。しかし施設費を引いた場合だと、この仮定と設定では油脂添加のほうの利益が多くなりました。これは単純比較ですので、自農場での計算を奨めます。さらに秋冬と夏期間の成績の違いなどの、肥育成績の季節性は大きな問題です。
同じ飼育日数で2つの飼料を比較評価した場合
上記は同じ出荷体重での評価でしたが、次は同じ飼育日数で2つの飼料を比較する場合です。同じ飼育日数にすると、出荷体重が変わって、油脂添加の有・無で出荷体重はそれぞれ117 kgと120 kgになります。「1頭当りの飼料費」は、油脂添加の有・無でそれぞれ13,338円と12,880円となります。「売上から飼料費を引いた利益」は、油脂添加の有・無で、それぞれ1頭当り22,662円と22,220円となり、同じ飼育日数にすると、油脂添加ありのほうの利益が多くなりました。同じ飼育日数にして出荷体重がわずか3キロ違うだけで、結果が変わりました。施設コストを考慮すると、油脂添加の有・無で、それぞれ1頭当り19,272円と18,830円となり、こちらも油脂添加の利益が多くなりました。
発育成績が1割低下した場合で一定の飼育日数で、2つの飼料を比較評価した場合
これは夏場に1日当り増体が低下し、飼育日数が伸びた場合を仮定しました。飼育日数は125日と設定しました。油脂添加の有・無で1日当り増体量を1割減で、それぞれ0.756 kgと0.735 kgとしました。なお夏場で価格が上昇するとして、生体価格を1割高の生体キロ当り330円と仮定しました。
経済的評価の結果ついて、「売上から飼料費を引いた利益」は、油脂添加の有・無で、それぞれ26,262円と25,730円となり、油脂添加ありのほうの利益が多くなりました。さらに「売上から飼料費・施設費を引いた利益」は、油脂添加の有・無で、それぞれ1頭当り22,512円と21,980円となり、これも油脂添加ありのほうが、さらに有利になりました。経済的評価の比較から、増体成績が低下する夏場には、油脂添加の飼料が有利という結果でした。また上記表の経済評価の比較から、出荷体重が3キロ違うだけで、結果が変わってくることがわかりました。なお本記事は、油脂添加された飼料を奨めるものではなく、飼料とそのコストパフォーマンス評価の重要性を強調するものです。
まとめ
飼料の経済的評価という観点は、農場にとって非常に重要と思います。わずか3キロの出荷体重の違いで、結果は変わってくるのです。まず農場ごとの季節別の飼料費の経済的評価が、経営に大切と思われます。まずは表計算ソフトにフォーマットを作り、常に飼料費の経済的評価をしておくことが大切です。季節性とスペースの影響は、農場で大きく違うと思われますので、自農場の季節ごとの成績から表計算ソフトに入れて計算することを奨めます。
また肥育成績である1日当り増体と飼料要求率は、肥育豚の死亡率も含んだグループ記録からとるべきと思います。また施設コスト(円/豚/日)は、オールイン・オールアウトで考えれば、群がすべて出荷される日数として考慮すべきと思います。
夏場の豚肥育成績を最大化する栄養戦略を2月から
気温が上昇する夏季には、豚の飼料摂取量は減少し、体重増加が減少します。さらに暑熱ストレス条件下で飼育された豚は、カロリー使用効率の低下、枝肉の赤身の減少、枝肉の脂肪品質の低下を示し、経済的損失が大きくなります。そのため5月から8月の間に出荷される豚を対象とした給餌プログラムは、肥育成績と利益を最大化する機会を生み出します。そのためには、飼料配合の変更は、2月に開始し7月まで継続すべきです。
栄養戦略
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エネルギー密度を増加せよ
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繊維質の多い飼料原料の除去せよ
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アミノ酸含有量を上げよ
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リンと銅のレベルの確認せよ
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夏場用飼料添加剤を注意深く使用せよ
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飼料を一部ペレットに
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管理のアイデア
大切:経済合理性
出典:
Wensley MR, Tokach MDら https://www.aasv.org/shap/issues/v31n4/v31n4p197.html
Rao Z-X, Mike D. Tokach MDら
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エネルギー密度の増加せよ
最も一般的な方法は、脂肪または油脂を添加することです。子豚期-肥育期の飼料に脂肪を 1%から5%添加すると、脂肪を1%添加するごとに増体が約 1%増加します。同様に、飼料効率は一般的に脂肪を1%添加するごとに約 2%向上します。
熱ストレスは豚の脂肪消化能力に影響を与えません。飼料に脂肪を配合すると、急成長期の豚(例、体重約 80kg まで)では、反応が大きくなります。
飼料エネルギーに対する肥育反応は、リジン:カロリー比に大きく依存します。飼料中のエネルギー密度が増加するにつれて、飼料中のリジンも増加させるべきです。
脂肪を添加する際には、飼料コストアップに対する利益(IOFC:Income over feed cost: コスパ)を評価し、増体量の価値が飼料配合の変更に伴うコストよりも大きいことを確認することが重要です。パン製造副産物のようなエネルギー含量の高い原料は、飼料中のエネルギー密度を高めるためのよい選択肢です。
2. 繊維質の多い飼料原料を除去せよ
飼料中エネルギーを増加させるもう一つの方法は、高繊維質の飼料原料(例、穀物蒸留粕DDGS、大麦、小麦ミドリング、大豆外皮)の配合を減らすか除去することです。繊維質の多い原料は消化時の熱増加が高いからです。例えばDDGS を出荷予定日の約 24 日前から給与しないことで、枝肉重量および枝肉歩留りがそれぞれ約 1.0%および 1.8%改善し、早ければ給与後 5 日目から改善が見られたと報告されています。と体の重量の増加は、コスパ(IOFC)がよいのです。
3. アミノ酸含有量を上げよ
気温が上昇すると、豚は飼料摂取量が低下し、アミノ酸摂取量が減少します。また、熱ストレスがアミノ酸代謝を変化させ、リジンの利用効率を低下させます。その結果、体重増加、タンパク質の生成、枝肉の赤肉量が減少します。このため、夏季の飼料中のアミノ酸濃度を高めることが肥育成績の向上には必要です。
夏場は穀物消化時の熱増加の上昇を防ぐため、飼料用合成アミノ酸を使用する方が有益でしょう。農場の豚ラインのリジン要求量と、利益に対する最大成長のためのリジン要求量を決定しましょう。コスパ(IOFC)を最大化するリジン値は、子豚期・肥育期初期に豚の生物学的要求量以下であることが多いのですが、肥育期後期には最大利益が最大成長量と同程度のリジン値になることが多いのです。米国NRC飼養標準の豚のアミノ酸要求値以上の飼料を給与することが、飼料摂取量が低下する夏季に飼育される豚にとって特に重要です。
4. リンと銅のレベルの確認
標準化消化性リン(STTDP)を適切な水準で配合した飼料を給与することは、子豚期-肥育期豚(24~130kg)の増体率を向上させる方法です。NRC飼養標準の要求量の100%と比較して 122%を給与した場合、一日平均増体量(ADG)が最大になった(約 3%増)と報告されています。しかし、リンの量を増やすことで追加コスト以上の増収が得られるかどうか、自農場でコスパ(IOFC)を評価する必要があります。
硫酸銅その他の銅原料から得られる銅は、飼料に 125 ~ 250 ppm 含むと、肥育期の豚の肥育成績と枝肉重量を向上させます。体重25kg から出荷まで、170ppm の銅を給与することで、処理時の枝肉重量が 3.5kg 増加したと報告されています。
5. 夏場用飼料添加剤の使用
増体効果を増やすための飼料添加剤を配合することも、栄養戦略のひとつです。夏用の飼料添加剤を選択する際には、増体を向上させるものにすべきです。
*飼料添加剤or飼料添加物は3タイプあり:動物の健康状態をよくするもの(酸味料、精油、プロバイオテックス、酵母、Cu、Zn)、エネルギーや脂質代謝を改善するもの(ベタイン、Cr、CLA、L-カルニチン)、消化率を向上させるもの(炭水化物分解酵素、プロテアーゼ、フィターゼ)。なお添加物は日本では飼料安全法で規制され、飼料工場で配合され、添加物は医薬品として獣医師の処方箋で農家が使用できるものです。米国では区別はありません。
Raoらによる豚用の飼料添加剤に関する402報の科学論文の総説(2023年)の結論は以下です。詳しくは栄養基礎タブを。
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酸味料 (有機酸)、ベタイン、CLA、L-カルニチン、および酵母は、飼料効率に対してはプラス効果(2.5~3.5%)あり
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酸味料(安息香酸やその他)は、ADGおよび飼料効率を改善する可能性あり
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精油はADGおよび飼料効率を改善する可能性あり、ただし米国のデータがないので地域差あり
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ベタイン、Cr、CLA、L-カルニチンは、脂質およびエネルギー代謝に影響を与えるため、枝肉特性を改善する可能性あり
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自農場での対照比較試験を実施し、コスパを常に検討する必要あり
6. 飼料のペレット化
ペレット飼料を給与することで、肥育期豚の増体率が最大6.0%向上します。ペレット化する際、熱、蒸気、圧力を利用することで、デンプンのゼラチン化とタンパク質の変性が進み、穀物のエネルギーとタンパク質の消化率が向上します。しかしペレットを長期間(例、58日以上)給与すると、潰瘍の発生率が多くなる可能性あり。ペレット飼料とミール飼料を交互に与えるか、ペレット飼料を短期間(例えば、肥育後期)にのみ与えることで、これらの課題を改善することができます。
7. 肥育成成績の管理アイデア
夏に出荷される豚にはいくつかの管理方法があります。豚舎にいる日数を増やすことと、利用可能なスペースを活用することです。
豚舎にいる日数を増やすことが実現不可能な場合は、豚フローを早めに考慮して、例えば、初夏から真夏にかけて配置される離乳舎や離乳・肥育一貫豚舎で、ダブルストック期間を長くすることで、豚の飼養日数を肥育後期で増やすことができます。
増体が最も貴重となる夏場には、増体量と枝肉品質を向上させるために、肥育期の豚をより広い面積で飼養することが選択肢です。高温(32.2℃)条件下で子豚期-肥育期の豚1頭の飼養面積を0.66㎡から0.93㎡に増やすと、ADGが27%増加することが示されています。
スペース不足からの増体の長期減少を防ぐために早めの出荷もあります。しかし、早すぎる出荷は、コスパ(IOFC)が悪くなります。
毎日の動物のケアでの管理戦略は、1)飼料フィーダの調整があまりにもタイトではないことを確認、2)豚舎の温度と換気の設定、3)冷却システム(例、スプリンクラーや余分な空気の動かすファン)使用があります。
さいごに、経済合理性で考える
栄養密度を高めたり、飼料添加物を入れたりすることは、コスト増を伴います。したがって、季節別の肥育成績と枝肉相場の動向を理解することが大切です。生産システムの豚のフロー、種豚の遺伝性能、および最適な市場体重を知ることが鍵となります。これらの情報は、コスパ(IOFC)を最大化するための、情報に基づいた意思決定を行うのに役立ちます。
飼料添加物やペレット飼料などは、経済合理性判断のために自農場での比較試験が重要です。自農場での比較試験のやり方については、栄養ページの栄養基礎タブで。