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ウイルスによる病気

ウイルスによる病気
豚の新興ウイルス病

SECTION II: ウイルスによる病気

 下線部分をクリックすると家畜疾病図鑑か米国アイオワ州立大学のHPで詳細がでます。アイオワ州立大学のHPにあるものは(米国ア)と表示しました。米国養豚獣医師会のものは会員でないと閲覧できないので、割愛しました。表記順は英名:和名;発病しやすい豚;特徴的症状;届出伝染病(届出)か法定伝染病(法定)か人畜共通伝染病(人畜共通)であれば表記しました。

African swine feverアフリカ豚熱;全年齢、豚とイノシシ、感染後5-15日で発症、高い発熱、耳や腹部の皮膚に紫班、死亡。OIEの警告ポスターでは、よく似ている症状がある病気として、豚熱、PRRS、豚丹毒、オーエスキー、パスツレラ性肺炎があげられている。

 Control: 国・農場への侵入を防ぐ。もし農場に侵入した場合は、早急な隔離・発生地区での移動制限が必須。有効ワクチンは現在なし;法定。

Blue eye diseaseブルーアイ病(米国ア)豚のみ、脳脊髄炎のため哺乳豚と離乳豚と肥育豚で神経症状と角膜混濁、母豚では繁殖障害。若い豚だと角膜混濁は1-10%に起こる。母豚だと再発と死産子豚とミイラ子豚が増える。

 Control: 種豚の導入時に隔離観察と血清テスト陰性の確認。有効ワクチンの報告はまだない、治療法なし。

Classical swine fever豚熱(豚コレラ);全年齢、豚とイノシシ;高い発熱、神経症状、結膜炎、下痢、呼吸器症状、耳や腹部の皮膚に紫斑、急性だと3週間以内にほぼ100%死亡。;法定。

 Control: 常在国では有効ワクチン使用。農場周囲の柵、農場周辺でのイノシシ駆除。多くの国レベルでの予防は、生きた豚、豚肉、加熱不十分な豚肉製品やその他ウイルス源になる可能性のあるもの(精液、受精卵、豚血清製品)の輸入禁止、加熱していない廃棄食料の豚への給餌禁止、国際線(船と飛行機)での廃棄食料への厳しい規制がされている。

補)Bovine Viral Diarrhea (BVD)とBorder Disease (BD) of Sheep: 牛ウイルス性下痢と羊ボーダー病;この病気の原因の2つのウイルスと豚熱ウイルスとは同じ属pestiviruses ぺスチウイルス属であり関連している。この2つのウイルスは豚にも感染可能であり、豚熱の抗体検査で陽性になる。母豚に感染すると、分娩率の低下、分娩子豚数が少ない、流産などを起こす。

Encephalomyocarditis virusEMC病(仮称;米国ア)新生豚の突然死、心筋炎、母豚の繁殖障害、まれな病気;哺乳類と鳥類。

 Control: ネズミ類の駆除。

Foot-and-mouth disease口蹄疫(FMD);全年齢、豚や牛などの偶蹄類、柔らかい皮膚や鼻部や母豚の乳房に水疱、四肢障害が発症のサイン、繁殖障害。

 Control: 清浄国である米国では、もし発生すればワクチン使用が検討される。その後、隔離・発生地区での移動制限、そして感染の可能性のある豚を殺処分し、死体の土中埋却または焼却し、生産場所の消毒することが計画されている。口蹄疫は根絶がもっとも経済的であるとされている。清浄国でない国ではワクチンが予防のため使用されているが、継続的な予防として完全でない。;法定。

Hemagglutinating encephalomyelitis (HEV):ブタ血球凝集性脳脊髄炎ウイルス(HEV, 仮称, 米国ア);豚のみ、主に4週齢以内の子豚、嘔吐と発育不良。2つの病気と症状が似ている: vomiting and wasting syndrome嘔吐・削痩症候群とencephalomyelitis 脳精髄炎症候群、鑑別が要。Control: 治療法なし、ワクチンなし。

Inclusion body rhinitis豚サイトロメガウイルス病(仮名;米国ア)主に1-5週齢の子豚、とくに1-3週齢の子豚では鼻炎、くしゃみ、結膜炎、突然死、母豚は流産や死産子豚とミイラ子豚多発、肥育豚が母豚からの移行抗体で守られているので、厳しい損害は少ないため、あまり対処されていない。Control: 米国では種豚導入時の馴致が使用されている。効果的治療法なし。

 

Influenza A豚インフルエンザ (米国ア)多くの豚で突然の発熱とセキ、呼吸困難 (Labored breathing)、症状のないものも多い、母豚では流産や、分娩時に弱い子豚が多く生まれる場合あり、死亡率低い。豚に感染するインフルエンザ A 型ウイルスのほとんどは、人に感染するものとは異なる。 通常は豚の間で広がるA型インフルエンザウイルスが人体で発見された場合、それらは「変異型」インフルエンザウイルス感染症と呼ばれる。

  Control: 豚インフルエンザへの特別な治療法はない、アスピリンや他の非ステロイド抗炎症剤の投与、よい環境を供給、水と飼料給与、二次感染静圧の抗生剤。欧米ではワクチン使用、分娩前の母豚へのワクチン接種、種豚導入時の馴致期間でのワクチン接種。しかしワクチンは他のタイプへの交差反応はほぼないので、農場に適したワクチン選択が大切。農場では、オールイン・オールアウト、空白期間での施設のそうじ・水洗・消毒・乾燥。;人畜共通。

Japanese encephalitis日本脳炎蚊に刺されること多くの動物に感染、野鳥、鶏、馬、豚と人間にも感染。豚では主に母豚と雄豚に感染し繁殖障害を起こす。妊娠中に感染すると、母豚に流産とミイラ子と死産子豚が多発し、弱い新生子豚で神経症状がある場合もあり。流産は稀。雄豚に精巣炎や性欲減少。豚は血中に多くのウイルスを含むので、本ウイルスの増幅動物と言われている。

  Control: 繁殖豚へのワクチン接種。その地区で、蚊が出始める時期の前2-3週間隔でワクチン2回接種、とくに若い種豚(0・1・2産次)や雄豚へのワクチン接種、常在している地区では肥育豚にも接種;法定;人畜共通。

 蚊の駆除法米国流は

  • 豚舎の周りの草や雑草を刈り、蚊の生息地を減らす

  • 幼虫が繁殖しやすいので、豚舎の周りのゴミを取り除く

  • 取り除けない小さな水たまりは、無毒の油(植物油など)を表面に散布

  • 殺虫剤使用時には、豚肉に残留化学物質のリスクがあり。そのため蚊対策として承認されている化学物質のみを使用し、使用指示に従ってください

Parvovirus豚パルボウイルス病(PPV, SMEDI; 米国ア); SMEDIとは死産stillbirth, ミイラ化mummification, 胚死embryonic death, and 不妊infertilityの頭文字。母豚に流産と死産子豚とミイラ子豚増加、正常な妊娠期間でミイラ子豚多しが典型的。再発の多発、分娩率の低下。

  Control: 治療法なし。最良の方法は、抗体がない感染リスクのある種豚に、交配前に2-3週間間隔で2回のワクチン接種、2回目は交配の3週間以上前に接種。注意すべきは、ワクチンを接種中でもウイルスは排除できず、ウイルスは農場内を循環しているので、継続したワクチン接種が必要。なおワクチンでは完全に予防できない。もう一つのやり方は、抗体を持っている高産次母豚を、抗体のない若い母豚に暴露して、抗体を保有した母豚のみ使用する方法がある。この場合は抗体の確認が要。

Porcine circovirus associated diseases豚サーコウイルス関連疾病(離乳後多臓器性発育不良症候群 (PCVAD, PCVD, PMWS);世界中どこの農場にも存在するようなウイルスである。はっきりした症状がでていない農場が多い。離乳子豚と肥育豚で発育不良、呼吸器症状、混合感染で重篤化。母豚で繁殖障害を起こす。また、豚皮膚病腎障害症候群(仮称、PDNS)の原因の一つと言われている。世界中でPCV2とPCV3の2つのタイプあり。

  Control: PCV2とPCV3ともに特別な治療法はない。発症している豚には、アスピリンなどの非ステロイド系抗炎症剤の投与、二次感染静圧のための抗生剤投与。PCV2用のワクチンはあるが、感染予防には効果的でなく症状を抑えるのみ。ワクチン接種のタイミングと対象群(繁殖群、更新用若雌種豚、新生豚、肥育豚)は農場による。

 米国での一般的方法としては、若雌種豚の選抜時または交配前にワクチン接種が実施されている。繁殖母豚農場での連続接種は、実施されていないが、妊娠豚間や哺乳中子豚でウルスが循環している時には、ブースター接種は推薦されている。

 子豚へのワクチン接種は一般的には離乳時に実施し、ブースターとして3週間後に接種。農場の衛生度を上げるために、オールイン・オールアウトによる日齢別グループでの飼育、空白期間での施設のそうじ・水洗・消毒・乾燥も必要。農場の母豚を全淘汰で根絶したという報告はあるが、このウイルスはいたるところに存在し、長期間のウイルス陰性の維持は不可能なので、本ウイルス根絶のための全淘汰は推薦されない。

 急性症状を示す種雄豚の精液から、PCV2とPCV3は発見されているが、精液が母豚農場での感染源になっているかは不明である。種雄豚を導入の前には、ワクチンのブースター接種をしておくのが望ましい。

現時点でPCV2のワクチンのみが市販されている。これがPCV3にも交差反応があるか不明(2019年時点)。

Porcine picornaviruses豚ピコルナウイルス病 (米国ア);ピコルナウイルス科には10属のウイルス種があり、口蹄疫やセネカウイルスAやEMCがある。ここではそれ以外を記述する。この病気は散発的に発生する。症状はポリオ脳脊髄炎、繁殖障害、皮膚病、心筋炎、肺炎や下痢まで幅広い。繁殖障害は、母豚に流産と死産子豚とミイラ子豚の発生が多くなる。欧米では多発し、テッシェン病は脳脊髄炎が厳しい病気、タルファン病は少しマイルドで後躯マヒを起こす。

  Control: 多くの農場では本ウイルスは常在しているので群免疫あり。過去に本ウイルによる繁殖障害の問題があった農場では、種豚を導入する時には、交配前1か月以上の馴致期間が必要。馴致のための暴露物には糞や後産を使用。欧州では、テッシェンやタルファン病には、隔離・移動禁止・殺処分に加えて農場周囲のワクチン接種(リング接種)が実施。米国では、離乳豚や肥育豚で小集団発生している。テッシェンやタルファン病は米国にはまだ発生していない。;日本では豚テシオウイルス脳脊髄炎は届出伝染病。

Porcine reproductive and respiratory syndrome豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS);

全日齢で発生、母豚は分娩率低下、流産と早産多発、死産子豚の増加、哺乳中死亡率増加、哺乳豚には神経症状があることもある。離乳子豚には呼吸器症状と発育遅延、混合感染で重篤になる。雄豚では精液の質が低下。養豚界で最も経済的に被害が大きい。

 Control:すべての農場への最良な方法はない。まずコントロールの第一ステップは、母豚農場から始めるべきで、目的は離乳豚バッチがPRRS陰性で連続して生産できるようになることである。一般的に、米国ではまず農場のPRRSの状態を3つから評価:a)陰性、b)感染中(ウイルスが母豚と離乳豚で検出)、c)感染したが今は安定(抗体はあるが、母豚にも離乳豚にもウイルスはいない)。離乳子豚の定期的な検査で評価する。a)の陰性農場は抗体検査でモニターし、c)の場は、離乳時でのプールした血清や唾液、子豚プロセス時での組織液を使用した定期的なPCR検査でモニターする。

 繁殖群のPRRS安定化つまり高いレベルの群免疫確立は、A)ワクチン接種、B)意図的な農場の全部の豚へのウイルス感染、C)導入若雌種豚群への積極的なウイルス馴致、D)6-10か月間の群閉鎖、E)AからDの組み合わせ、によって行う。

 注意すべきは、若雌種豚導入回数を少なくしリスクを下げること、そして群導入と初交配前に確実に農場にある野外ウイルスかワクチンで馴致する。最低60日間、回復しウイルスを排出しなくなるまで群に導入しないこと。新雄豚も同様。外部からの購入精液は、陰性かつPRRSウイルスを定期的にモニターしている農場から、陰性の雄豚からの精液を使用。

 繁殖群からPRRS陰性の子豚が生産できるようになれば、次に離乳舎、子豚舎、肥育舎での評価を行い、陰性の離乳豚を出荷まで陰性で飼育するためにどうするか(全淘汰し、清掃・消毒、ワクチン接種など)決める。

 農場によってはこの時点で、PRRS根絶しようとする農場もでてくる。すべての若雌種豚は陰性で、感染し残っている母豚は排除する必要がある。そのためには血液検査(血清抗体とPCR)でまだ感染種豚を見つけ出し淘汰し、そして導入の種豚はPRRS陰性のものにする。

 農場によっては全淘汰と陰性種豚再導入(depopulation-repopulation)が経済的に会う場合もあり、200日以上の群閉鎖 (herd closure) が適する場合もある。その群閉鎖ではすべての離乳豚を他の農場off-siteに移動し、若雌種豚を内部on-siteで育成しない。なお米国の種豚会社はPRRS陰性種豚を販売しているので、やりやすくなっている。

 PRRSコントロールまたは根絶するプログラムを始める前に、その農場のリスク因子を考慮する必要がある。最も高い再感染リスクは、多くの農場がある場所にその農場があることである。

 PRRS発症豚への特別な治療法はないので、米国では発熱している豚には非ステロイド性抗炎症が主に投与されている。抗生剤は二次感染の静圧に使用する場合もある。各種のワクチン接種と早期離乳して他の場所off-siteへ離乳子豚を移動し隔離育成する方法も使用されている。

 PRRS陰性農場では、種豚導入時の隔離し確認、豚出荷プロセスとトラック消毒、スタッフの農場移動についてのバイオセキュリティ手順も必要。豚飼育密度が高い地区では空気フィルターも要考慮。; 届出。

Porcine respiratory coronavirus (PRCV)(米国ア):(PRCV) 呼吸障害コロナウイルス病(PRCV,仮称);肥育豚;中程度の呼吸器症状。Control: 米国では考慮されていない。

Pseudorabiesオーエスキー病 (AD, PRV);哺乳豚から母豚まで発生、繁殖豚の流産や死産、哺乳子豚の神経症状と死亡、肥育豚の呼吸器症状。豚・イノシシのほかに犬猫や牛や野生動物にも感染、馬と人には感染せず。

  Control: 米国は2004年に根絶した。PRVが常在している地区の農場では、農場に導入する種豚に対して、厳格な検査・隔離手順(1カ月以上隔離期間の初めと終わりの2回の血清検査など)は効果あり。またネコ・イヌ・ネスミ類や野生動物と豚との接触を断つ。また効果的なワクチン使用で、感染への抵抗性を増し、感染の症状がなくなり、ウイルス排出が減らせ、潜伏や再発症のリスクも減る。米国では攻撃的なワクチン接種と検査と陽性豚の淘汰(test and removal)で根絶に成功した農場も多くあった。;届出。

Rotavirus豚ロタウイルス病 (米国ア); 哺乳子豚と離乳子豚で下痢(白色から黄色)、農場によっては同じ日齢の子豚で再発生。ウイルスタイプAからGまであり。

  Control: 特別な治療法はない。サポート処置として暖めることと、飲水の電解質投与、環境を乾燥させ暖めることと栄養を与えるは症状緩和によい。抗生剤は効果的でないが、二次感染予防。

 オールイン・オールアウトし日齢別グループ飼育で、空白期間での施設のそうじ・水洗・消毒・乾燥が発症のリスクを下げる。肥育グループ内の日齢差を少なくすることも、日齢の高い豚から低い豚への感染リスクを下げる。もし離乳後の子豚の発生が続くなら、衛生と環境の管理を見直す必要あり。

 ウイルスタイプA用ワクチンあり。米国では、分娩前の母豚に接種して初乳中移行抗体量を上げ、その後もブースターとして分娩数週間前の接種がよく実施されている。しかしその効果が顕著にでない場合もある。

  また米国では、若雌種豚導入前に、ロタと他の病原体への馴致も行われている。導入しようとする雌豚の能動免疫を上げるために、現在の高産次の母豚と接触させたり排出物を与えるなどである。米国の農場では、母豚へのブースター効果を狙って、分娩舎の糞や感染豚の腸管内容物を混ぜたものを給餌している農場もある。(米国ア)

 

Senecavirus A豚セネカウイルス病(仮名);全年齢、鼻や口唇や蹄間に水疱。1週齢以下の豚では下痢、死亡もあり。口蹄疫に症状が似ている。2015年にブラジルと米国で発見されて以来、カナダ・中国・ベトナム・タイでも報告されている。Control:群免疫がすぐ形成。治療法なし。アイオワ州立大学のサイトになし。以下に詳しい。Buckley AC, Lager KM. Senecavirus A: Frequently asked questions. J Swine Health Prod. 2022;30(3):149-159. https://doi.org/10.54846/jshap/1270

 

Swine enteric coronavirus diseases:腸コロナ病(仮称;米国ア);豚伝染性胃腸炎(TGE)豚流行性下痢(PED)豚デルタコロナウイルス (PDCoV)を含むカテゴリーと米国獣医師会マニュアルではしている。症状が同一だからである。なおアイオワ州立大学はTGEとPEDの2つに分け記述している。;下痢、とくに新生豚では生存は絶望、3週齢を超えると生き残る可能性が高くなる。

 Control:集団発生時、すべての母豚に早急に生きたウイルスを暴露する。これで母豚の群免疫を高め、初乳からの移行抗体濃度を高め、新生豚を守る。方法は感染している新生豚の便と腸管の消化物を母豚に給餌する。平均4-6週間で正常な生産に戻る。免疫を持った哺乳豚は、そうじ・水洗・消毒・乾燥されたクリーンな離乳舎へ移動できる。急性での発症の場合でも、3週齢を超える豚は、サポート療法(電解質投与、暖める、環境乾燥等)だけで治癒する。なお症状がなくなってからも60日以上は、新しい動物を持ち込まない。米国ではTGEとPEDワクチンはあるが、感染を止めたり、症状を軽度にするための十分な免疫を獲得できないようである。しかし米国では何人かの獣医師がウイルスの根絶の際のプログラムに含めている。治療法はないが、新生豚へのサポート療法は少しはメリットはある。

  • Transmissible gastroenteritis: 豚伝染性胃腸炎(TGE); 全年齢の豚、水溶性下痢、死亡率は年齢が上がるにつれ低下する; 届出。

  • Porcine Endemic Diarrhea: 豚流行性下痢 (PED); 全年齢の豚、水溶性下痢、死亡率は年齢が上がるにつれ低下する; 届出。

  • Porcine Delta Coronavirus: 豚デルタコロナウイルス;2014年から米国に現れだした。豚に強い症状を示し、経済的にも大きな損害をもたらすが、上記2つよりは病原性は重くない。3つの間で交差免疫はない。

 

Swine vesicular disease豚水疱症;皮膚の柔らかい部分(鼻、唇、蹄間)に水疱ができる。口蹄疫と似ている。豚とイノシシに感染。

Control:治療法はない。発生すれば農場の全頭安楽死と消毒となる。農場に種豚導入時の隔離観察、感染のある国からの豚肉製品の輸入禁止。;法定。

 

Swinepox豚疱 (米国ア);哺乳豚、離乳豚、肥育豚、とくに若い豚で発症、皮膚に水疱、豚シラミが介在;豚のみ。

 Control:豚シラミの定期的駆除または完全排除ができている農場ではまず発生しない。治療法はない。(米国ア)

 

Vesicular exanthema of swine virus: VESV(仮称; 米国ア);症状が口蹄疫と似ている、米国では1956年に根絶した。豚とアシカに感染; 届出。

Vesicular stomatitis水疱性性口内炎;今は南北アメリカ大陸に限局、四肢・蹄に水疱、豚、牛、馬、山羊と羊に感染。Control: 発症の場合は、農場隔離・移動禁止・発症農場の全頭安楽死。農場のそうじ・水洗・消毒・乾燥。;法定。

SECTION III: 新興ウイルス病

アイオワ州立大学獣医学部の病気リストのサイトには記載されていません。ウエストナイルのみ家畜疾病図鑑にあり。
 

Filoviruses (Ebola virus and Marburg virus):エボラとマールブルグウイルス;豚には呼吸器症状を起こす。中国とフィリピンでPRRSを発症した豚から本ウイルスの一種が発見された。;人畜共通。

Hepatitis E virus: 肝炎E型;肝炎E型は、先進国を含む世界中で発生が増えている。人に肝炎、時に繁殖障害を起こす。米国の農場の80%は感染している可能性がある。豚では糞便感染するが、ほぼ無症状である。豚は重要な保因宿主で、その糞や熱処理不十分の肝臓や肝臓ペーストを食べることが感染源になる。消毒には豚肉製品では71℃で20分間必要。;人畜共通。

Paramyxoviruses (Menangle and Nipah viruses):メナングルとニッパウイルス;全年齢、メナングルは死産子豚・ミイラ子豚増、ニッパは呼吸器病と神経症状を、人では重篤な肺炎を起こし致死率40%。;人畜共通。

Pestivirus F (Bungowannah virus): ペスチウイルス(仮称);2-3週齢、死産子豚増、豚心筋炎症候群ともいわれる。今はオーストラリアに限局。

Porcine adenovirus:豚アデノウイルス;豚では胃腸炎のほか、他の病気と複合感染、免疫を抑制、米国、カナダや南米や欧州では広く分布していると予想されている。

Porcine astrovirus:豚アストロウイルス;若い豚に多く感染し、胃腸病と神経症状を起こす。他の腸管の病原体(ロタウイルス、サーコ、TGE等)と併感染、糞中に多い。世界中で分離。

Porcine bocavirus:豚ボカウイルス;主に離乳豚に感染、世界中で分離、他のウイルス病(サーコウイルス、呼吸器病、下痢)との併感染が多い。繁殖障害も発症。

Porcine parainfluenza virus type 1:豚パラインフルエンザ1型;全年齢、主に離乳豚と肥育豚、呼吸器症状。

Porcine sapovirus:豚サポウイルス;全年齢、主に2-8週齢の子豚、下痢と嘔吐、世界中で分離。

Torque teno virus:トルク・テノウイルス(仮称);他の病気との併感染、世界中で分離。

West Nile virus (Kunjin virus):ウエストナイルウイルス;主に馬と人、蚊が媒介、人ではインフルエンザ様の症状、北米で集団発生が非定期的に起こっている。米国ではイノシシで分離されているが、豚が本ウイルスを増幅するような宿主ではないだろう。;法定;人畜共通。

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